第5場/大海原。サトコの船
風がなく船は立ち往生。誰か海の帝王の怒りに触れた者がいるからだとして、生贄を捧げることになり、くじを引くとサトコに当たってしまう。彼はグースリを手に海に沈んでいく。夢幻的な音楽が海底の様子を描き出す。彼が波間に消えると、再び風が吹きはじめ、船は走り去っていく。
第6場/海王の宮殿
サトコは海王の宮殿で歓待されている。一度も海に捧げ物をしないと怒る海王に、サトコの歌でもとなだめる海王の娘ヴォルホヴァ。海王の栄光を讃えるサトコの歌に、海王は喜び、娘との結婚を許す。婚礼を祝う魚たちや水の精たちの踊りが繰り広げられるが、その絶頂で突如、巡礼姿の聖人ニコラスの幻が現れ「サトコはノヴゴロドに帰らなければならない、ヴォルホヴァはノヴゴロドの大河となれ」と海王に告げる。ヴォルホヴァは父に別れを告げ、サトコと巨大な貝に乗り、海底を去る。音楽は悲しみを込めて響く。
第7場/イルメルン湖のほとり
サトコと海王の娘ヴォルホヴァはノヴゴロドに着く。海底国でたのしい思い出にふける二人の二重唱。ノヴゴロドを望む丘の上に寝転がったサトコの額を、なでながらヴォルホヴァはやさしい<子守歌>(Son pa bereshku hadil)を歌う。そして花を摘んで自分の体に投げつけると、ヴォルホヴァは溶けて美しい小川となって流れ始める。(現在のノヴゴロドを流れるヴォルホフ川の名の由来になった)。サトコは、妻のリュバーヴァの声で眠りから覚める。二人は再会を喜んでいると、そこにサトコの乗っていた商船隊が財宝を積んで帰ってくる。ノヴゴロドの人々はサトコの成功を祝して、歌い踊る。全員で、海と大河を讃える大合唱のうちに幕となる。(幕)
※サトコは歴史上の人物であり、かつてのノーヴゴロド共和国に栄えた貿易ギルドの裕福な一員だった。
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