【あらすじ】
「正義」は自らの仕事を、敬虔な人に報い、悔い改めぬ人に罰を与えることであり、神の恩寵の必要性を説く。「キリストの精神」は、世俗の快楽に人々が溺れることを嘆く。「慈悲」は、『すべての心、すべての霊、すべての知恵、すべての力をあげて、主なる神を愛しなさい』と、このオペラの最も重要な教義を唱え。さらに、恐ろしいライオンがいる危険な森の中で、無防備に眠りこける狩人を例えに、日々の信仰の大切さを説く。「キリストの精神」は、教義に従わない人々に、もしも地獄の恐ろしい光景を見せたならば、彼らの自覚を促し、救いへと導けるのではと考える。
「正義」は眠りこけている「キリスト教徒」を起こすことにして、「目覚めよ、怠け者のしもべよ、地獄と死が呼んでいる」と声をかけて姿を隠す。「キリスト教徒」は、夢の中で聞いたこの声に不安になり目を覚ますが、目の前に現れたのは「世俗精神」であった。「世俗精神」は陽気に快楽の世界へと誘う。しかし「キリスト教徒」は、夢の中で聞いた恐ろしい言葉が忘れられない。最後の審判を告げるトロンボーンが「キリスト教徒」の心に響く。それに対し「世俗精神」は、恐怖を取り除くように語りかける。そこに医者の姿をした「キリストの精神」が現れる。「キリスト教徒」は病気や死の不安から救ってくれる薬を望むが、「世俗精神」は、享楽こそ人間を解放するいい薬さ、とうそぶく。
「キリストの精神」は「キリスト教徒」に良薬だと封筒に入った薬を渡す。その中には「キリスト教徒の義務を果たすものは、決して没落しない」と書かれていた。それに対して「世俗精神」が、再び現世の快楽を誘うと、「キリスト教徒」はその言葉に乗り、「すいませんが、幸せが私を急がせますので」といい、立ち去る。
「慈悲」も「正義」もこの様子に失望して、この先に悲観的である。「キリストの精神」は、忍耐を持って彼を見守って欲しいと述べ、「慈悲」も「正義」もそれを請け負ったところで幕となる。
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