第2幕
屋敷内。亡霊2人は互いに自分の不遇を訴えながらも、どうにか子供達を手に入れようと話し合う。そしてあらゆる手を使い子供達を操るのだが、女教師もこれに果敢に応戦する。一時は心身共に疲れ果て依頼人に禁止されていた手紙までをも書いたのだが、屋敷を逃げ出すことは踏みとどまった。その後も亡霊達の差し金で、出すはずだった手紙をマイルズが盗んだり、フローラが女教師を拒絶したりと苦難は続く。まるで全てのことが同じ方向にしか進まないねじの回転のように、得体の知れない何かにのみ込まれていくようだった。しかしとうとう彼女はクイントと直接マイルズを奪い合う場面で、マイルズの口から「クイント!お前は悪魔だ!」という彼に負けを認めさせる決定的な言葉を引き出した。ショックでその場から消え去るクイントに喜ぶのも束の間、女教師はそこで絶命しているマイルズに気付く。何ということだろう!愛しい少年の屍を前に、彼女はただ茫然と悲しい旋律の歌を口ずさむ。それはかつてマイルズが自作だといって美しい声で歌っていた、胸に残って離れない歌であった。全編を通して何か心をざわつかせたこのオペラは、そのざわつきを留めたまま静かに幕となる。
RETURN
オペラ名曲辞典TOP