W.A.モーツァルト
Wolfgang Amadeus Mozart
ジングシュピールKV384
後宮からの逃走
(後宮からの誘拐)
Die Entfuehrung aus dem Serail
初演:1782年7月16日ウィーン・ブルク劇場
台本:独/ブレッツナー/Christoph Friedrich Bretzner(1748-1807)
編集:シュテファニー弟/J.Gottlieb Stephanie(1741-1800)
演奏時間:序曲5分/第1幕45分/第2幕50分/第3幕50分/合計約2時間30分
楽器編成:
Picc,2Fl,2Ob,2Cl(2バセットホルン),2Fg/2Tp,2Hr/Tim,Trg,Cym,G.C(トルコ風大太鼓),ドイツ小太鼓/ハンマーフリューゲル又はCembalo/Str
概説:
歌劇「後宮からの逃走」(モーツァルト)
 この作品は純粋なイタリア式のオペラではなく、ドイツ語による地のセリフを生かした、ジングシュピール(歌芝居)の傑作である。結局この形式が後の「魔笛」に結実し、さらにベートーヴェンの「フィデリオ」、ウェーバーの「魔弾の射手」といったように、ドイツ語のオペラ発展の礎の役を果すことになる。さらに18世紀的な特色としては、舞台がトルコに設定されていること、そして結末が太守の仇敵を許すという、啓蒙君主的な思想が反映されていることも、ここに挙げておかねばならない。トルコは当時のヨーロッパ人の異国趣味を満たす、憧れの国であり、その音楽もまたシンバルやトライアングルを駆使した、エキゾティックな魅力を振り撒いていた。そして自分の思い通りに動かない人間をも、寛大な心で許し暖かく迎えるのは、人の上に立つものの修めるべき徳とされていたのである。これは当時啓蒙君主として知られた、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世に対する、モーツァルトなりの一種のゴマすりだったのかも知れない。(C)出谷 啓
先行作品として未完の「Zaide」がある。
最終更新:2008年12月14日
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