第3幕
真夜中、ペドリロと船頭が脱走の準備をしている。そしてペドリロは、準備万端整ったとベルモンテに告げて去る。一人残ったベルモンテは、コンスタンツェを思うアリア、「おお愛よ、私はお前の力に頼ろう」をうたう。12時を期して決行ということで、ペドリロはベルモンテに見張りを頼み、自分はマンドリンを弾きながらセレナードをうたう。それを聞いたコンスタンツェが窓を開くと、ペドリロが梯子をかけて、ベルモンテが外へ連れ出す。次いでブロンデを起こして、連れ出そうとペドリロが彼女の部屋へ入って行く。ところが眠り薬の切れたオスミンに見つかり、4人とも衛兵に捕えられてしまう。彼は勝ち誇って、「俺は勝ったぞ、お前らを仕置場に引っ張って、首を切ってやる」とアリア。
太守の前に引き出された、ベルモンテとコンスタンツェ。その上ベルモンテの父親が、スペインの軍人で、かつて太守と戦って、彼を打ち破ったことがあると分かる。つまりベルモンテの家は、太守にとって生涯の敵だったのだ。ピンチに陥った二人は、自分たちの運命を嘆く二重唱をうたう。そしてブロンデとペドリロも、引き立てられて来る。ところが太守は彼らを罰する代わりに、寛大な態度で自由の身にしてやり、その上祖国ヘ送り返してやろうとまでいう。全員その寛大さにびっくりするが、中でもオスミンはブロンデを我が物に出来なかったので、地団太を踏んで口惜しがる。ベルモンテの「あなたのご恩は、決して忘れません」という言葉で、ヴォードヴィルと称するフィナーレになるが、太守の仁徳を称える近衛兵の合唱で、大団円を迎えて幕となる。
(C)出谷 啓
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