第1幕
1880年代のミシシッピ河。アンディ・ホークス船長の率いるショウ・ボート、コットン・ブロッサム(綿の花)号が、ナッチェスの港にやって来る。一座のスターはジュリーとスティーヴの夫妻で、船長夫婦の娘マグノリア、それに黒人の船員ジョーなどがいる。開幕のナンバーはショウ・ボートが到着し、人々がそれを迎える合唱曲、「コットン・ブロッサム」である。アンディ船長が一座のスターを紹介し、その夜のショウに客を勧誘する。だがジュリーに言い寄るピートと、スティーヴが殴り合いの喧嘩を始める。負けたピートは捨て台詞を残して去り、再び「コットン・ブロッサム」の合唱が賑やかに歌われる。ピートはその足で町のシェリフの事務所を訪ね、何事かをシェリフに耳打ちする。賭けに負けた賭博師のゲイロードは、ニューオーリンズ行きの鉄道の切符まで巻き上げられ、コットン・ブロッサム号に乗せて貰えるよう、「花嫁はどこに?」を歌いながら船を訪れるが、船長は不在で娘のマグノリアと出会う。余りの彼女の美しさに一目惚れしたゲイロードは、「メイク・ビリーヴ」を歌い、マグノリアも明るく男らしいゲイロードに好意を持ち、二重唱に発展する。結局アンディ船長に体よく断られたゲイロードはすごすごと船を降りるが、マグノリアには未練たっぷりの様子である。マグノリアが姉のように慕っているのが、一座のスターのジュリーで、彼女にマグノリアはゲイロードのことを打ち明ける。ジュリーはスティーヴをどれ程愛しているか、「愛さずにはいられない」を切々と歌う。マグノリアは早く私もそうなりたいと、ジュリーを励ます。夜になってショウが始まり、踊り手のフランクとエリーによる「ひどい舞台の暮らし」のナンバーから、ジュリーとスティーヴの出番になるが、そこへシェリフがピートと現れ、ジュリーには黒人の血が混じっているから、スティーヴとの結婚は法律違反だと宣告する。だがスティーヴはジュリーの手を切り、彼女の血を啜って、これで自分にも黒人の血が流れている抵抗する。しかし聞き入れられず2人は逮捕されてしまう。黒人のジョーはそうした情景を前にし、黒人の生活の辛さと悠久の流れを誇るミシシッピ河を対照させた不滅のバラード「オールマン・リヴァー」を朗々と歌う。一座のスターを失った船長はゲイロードを役者として雇い入れ、マグノリアとコンビを組ませてスターに育て上げる。このコンビは大成功で、各地で大入り満員の盛況になる。2人は互いに愛し合い結婚を決意するが、マグノリアの母パーシーは大反対で、2人を船から追い出してしまう。だが2人は「君こそは我が愛」の二重唱で互いの愛を確かめ合い、結婚するために船を後にする。
(C) 出谷 啓
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