〈第3幕〉
荒涼とした岩山。
第1場:さすらい人が女神エールダの眠りを覚まし、神々の運命について尋ねる。エールダはヴォータンが身勝手を非難するが、ヴォータンはジークフリートへの期待を楽観的に語る。望んだ答えを与えてくれなかったエールダをヴォータンは再び大地の底へ下がらせ眠らせる。
第2場:そこへ森の小鳥に導かれたジークフリートがやってくるが、さすらい人の正体を知らないジークフリートはヴォータンを邪魔者扱いする。最初は余裕をもって接していたヴォータンも、ジークフリートの無礼な態度に不機嫌になってきて、自分がノートゥングを砕いたことを口にする。そのため、この老人が父の仇だと思い込んだジークフリートは、行く手をふさいだヴォータンの槍を一撃で叩き折ってしまう。ヴォータンは自分の力が衰えたことを悟りながらも、孫の力に満足して姿を消す。
第3場:ジークフリートが燃え盛る炎の中に飛び込み(場面転換の音楽)、炎を輪をくぐり抜けると、そこには盾におおわれ鎧を着た人間が横たわっていた。その鎧を外して、生れて初めて人間の女性の姿を見たジークフリートは「怖れ」というものを知って動揺する。気を落ち着かせて接吻すると、ブリュンヒルデは長い眠りから目を覚ます。彼女はジークフリートが自分を目覚めさせてくれたことを喜ぶが、神性を剥奪され無力な身になったことを思い出すと急に不安に襲われる。しかし、ジークフリートの天真爛漫な求愛に心を動かされ、ついに歓喜の声を上げて彼の腕の中に飛び込む。(幕)
(C)吉田 真
もどる
オペラ名曲辞典TOP