第3幕
 総督の官邸内。反乱を起こしたパオロは捕えられ、死刑台へと引かれて行く。彼はフィエスコに、かつてアメリアを拉致したのは自分だったこと、シモンは間もなく毒薬で死ぬだろうといい残す。アメリアとガブリエーレの結婚の式典の中、シモンがよろめきながらあらわれる。それを迎えるアンドレアは、実は自分こそフィエスコだと名乗る。声を聞いて思い出したシモンは、あのアメリアこそ、自分とマリアのあいだに生まれた娘だと打ち明ける。後悔の涙にくれるフィエスコとの二重唱は、このオペラの中でも最も感動的な歌であろう。
 婚礼を終えたアメリアとガブリエーレは、アンドレアが実はフィエスコで、アメリアの祖父であることを初めて知る。そしてシモンは、アメリアが自分の実の娘マリアだと告白し、その夫ガブリエーレが、自分の後継者に就任するよう要請して、全身に回った毒のため息絶える。そしてフィエスコがバルコニーから、市民たちに向かってシモンの死と、新総督の名を告げて、一同がシモンの冥福を祈るうちに、静かに全曲の幕が下ろされる。(C) 出谷 啓
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