第2幕
オーストリアとドイツの国際関係は、激動の様相を呈して来た。感情の行き違いから大佐と言い争いになったエルザは、婚約を破棄してウィーンに帰ってしまう。そこへ、院長に励まされたマリアが戻って来る。彼女を優しく迎え入れる大佐、今はもう2人の愛を妨げるものは何一つなかった。
晴れて結婚した大佐とマリア、だが新婚旅行から帰った2人を待っていたのは、大佐へのナチス・ドイツからの召集令状であった。祖国オーストリアを愛する大佐は、令状に従うことは出来ない。そこで大佐はナチスに協力すると見せかけ、子供たちと夫妻でファミリー合唱団を結成し、カルツベルク音楽祭に出演した後、スイスへ逃れることを計画する。大佐の友人マックスのお膳立てにより音楽祭に参加したトラップ・ファミリー合唱団は、祖国の歌「エーデルワイス」を高らかに歌い、見事一等の栄冠を獲得する。しかし鳴り止まない拍手の中、一家の面々はステージに現れない。一瞬の隙を突いて彼らは逃げ、マリアの好きだった修道院の庭から、裏山伝いに山を越え、スイスへの亡命を果したのであった。(幕)(その後トラップ一家はアメリカに渡り、プロのファミリー・コーラスとして成功する。)
(C) 出谷 啓
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