スペードの女王   
時と場所:18世紀末のペテルブルク
第1幕第1場
ペテルブルクの夏の庭園。ゲルマンの心は暗い。何故なら、彼はある夜会で見初めた清楚な伯爵令嬢リーザに恋したが、リーザはエレツキー公爵の許婚者ということを知ったからだ。貧乏な士官には望みはない。リーザと祖母の伯爵夫人が庭に現れるが、ゲルマンの憂鬱な眼差しは、近づきつつあるわざわいを予感させ二人を不安にさせた。その時ゲルマンの友人トムスキーから、その昔「スペードの女王」と呼ばれたこの伯爵夫人が、必勝の三枚のカードでトランプ賭博のピンチを切り抜けたことを聞く。しかしその後夫人は「三枚のトランプの秘密を知ろうとする恋する男が現れて、死の打撃を受けるだろう」と亡霊に予告されていた。ゲルマンはその話に激しく心を動かされ、リーザを手に入れたいと思い詰める。庭園には雷鳴が轟く。
第2場リーザの部屋。夜、リーザの女友達が集い歌を楽しんでいる。友人が帰りリーザが一人残ると、突然ゲルマンがバルコニーから忍びこみ、驚くリーザに熱烈に恋心を打ち明ける。アリア「お許し下さい、天の女神よ」。リーザの心も次第にゲルマンに傾いていく。
つづく

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