【あらすじ】 時と場所:19世紀初頭のオーストリアのザルツブルグ近郊。ザルツァッハ川を望むスタンカー城とその周辺。
第1幕:第1場
スタンカー伯の城の部屋
老牧師のヨルグが聖書を読んでいると、牧師のスティッフェリオが長い布教の旅から帰宅する。スティッフェリオの妻リーナの従妹ドロテアは、スティッフェリオが不在の間に、一人の船頭が何度も訪ねてきたことを告げる。スティッフェリオはそれを聞き、既にその船頭には会って話を聞いたと言う。<夜明けにここから小舟で出ると>(Di qua varcando)。その話は、今から8日前の明け方、城の窓から川に飛び込んだ男を見送っていた女が、船頭の視線に気付き慌てて窓を閉めたということだ。スティッフェリオの妻リーナと彼女の愛人ラッファエーレは、それが自分たちのことだと分かり、密かに恐れを抱く。しかしスティッフェリオは、男が逃げる時に落としていったとされる証拠の紙を燃やして、この話は追求しないと言うので、二人は安心する。リーナと二人きりになったスティッフェリオは、彼女の様子がおかしいことに気付く。リーナはよそよそしく、彼をロドルフォという旧姓で呼ぶ。ふとリーナの指を見ると、結婚指輪がはめられていない。スティッフェリオはリーナを詰問する。その時スタンカー伯爵が友人達の来訪を告げるので、話は中断しスティッフェリオはその場を立ち去る。一人残されたリーナは自責の念から、夫に真実を告白しようと手紙を書き始める。その時父のスタンカー伯爵が現れて手紙を取り上げる。スタンカー伯爵は娘の不義を確信し、恋人宛の手紙と勘違いしてこれを破り捨てる。しかしそれがスティッフェリオ宛と知り、夫を苦しめることはするなと言って、その恋人の名を明かすように責め、自分がその男を殺すと言う。しかしリーナは名を明かさず、そのまま二人は退場する。その後に愛人のラッファエーレが現れ、リーナへの手紙を本の間にそっと隠す。そこにリーナの従兄弟フェデリーコが現れ、何も知らずにその本を持ち去る。しかしこの様子を、老牧師ヨルグが目撃していた。老牧師ヨルグはフェデリーコがリーナの愛人だと誤解してしまう。
第2場/城の大広間
スティッフェリオを讃える合唱が歌われると、老牧師ヨルグが鍵の掛かった本を差し出し、これはリーナの恋の通信道具であると言う。皆がこの日の説教のテーマを聞くので、スティッフェリオは「それは妻の裏切り」と言ってリーナにこの本の鍵を出すように命じる。リーナが怖れてそれを出さないので、彼は本を壊して中身の手紙を取り出す。するとリーナの父スタンカー伯爵が、その手紙を読んではならないと言って取り上げて破り捨てる。スティッフェリオは怒り、リーナは父を許してくれるように懇願する。混乱の中、スタンカー伯爵はリーナの愛人ラッファエーレに墓場で決闘しようと持ちかける。


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