第3幕 公爵の館
アルベルトは公爵に、父への助言を頼みにやって来る。(ここで、アルベルトと相談に快く応じる公爵の短いやりとりだけが、作品中少しの明るさを持って歌われる。)公爵は早速、男爵を呼び、二人の会話が聞こえる隣室にアルベルトをかくまった。公爵は「息子アルベルトが、きちんとした紳士としての身だしなみを整えられるように援助してあげなさい」と男爵に助言する。しかし男爵は金を守ること以外眼中になく、自分の息子を繰り返し誹謗し、挙句の果てに「息子が財産を略奪しようと、父親の死を待ち受けているのだ」と妄想と現実の区別もつかなくなっていく。これを聞いていたアルベルトが我慢しきれず「お父さんは嘘つきだ!」と叫び隣室から飛び出してくる。男爵は「侮辱を受けた」と怒り心頭に発し、息子に向かって手袋を投げ捨て、決闘を申し込む。興奮したアルベルトも挑戦を受けるべくその手袋を拾ってしまう。慌てた公爵はアルベルトを連れ出し「連絡があるまで宮廷を去るように」となだめ、部屋に戻って来る。すると激情した男爵が床に倒れ、喘ぎ苦しんでいる。「金庫の鍵はどこだ!」と、のたうちまわる男爵の姿は、彼の意識が魂をとうに離れ、あたかも金に宿っているように見える。悪夢のような男爵の臨終を目の当りにした公爵は戦慄を覚える。男爵はそのまま事切れ、あえない最期となる。〈幕〉
RETURN
オペラ名曲辞典TOP