第3幕 第1場/荒れ果てたトムの家
 インチキ機械のお陰でトムは事業に失敗し、無一文になってしまう。家の物は全て競売に掛けられ、動かなくなったババも競売人セレムの手により顔のカツラが外され動き出し、家の物も自分さえも売られてしまったことを怒り出す。そこへトムを諦めきれないアンがやって来た。アンはどこからか聞こえてくるトムとニックの歌声を頼りにトムを探し、その姿を見たババは、2人が愛し合っているのならと身を引くことを決める。そしてアンに「ニック・シャドウには気をつけなさい」と忠告をすると、ババの今後を心配するアンに「私はまたサーカスで稼げるから大丈夫!」と言った。
第2場/墓場
 ニック・シャドウがトムを墓場へ連れていき、今日で1年と1日が経ったので報酬をよこせと迫る。トムが今はお金がないので待ってくれと言うと、ニックはその恐ろしい本性を現し、それでは今すぐ命を絶って、お前の魂で払えと言う。最後のチャンスと称して、カードでお互いの命を賭けることになり、トムはとうとう追い詰められるが、土壇場でアンの歌声に救われトムは賭けに勝つ。しかしニックは死ぬ前にトムに呪いをかけ、彼の気を狂わせてしまった。
 そして辺りはのどかな野原に変わり、自分がギリシャ神話の美少年アドニスだと思い込んだトムは「私は女神アフロディテから愛される者..」と歌い始めた。
第3場/精神病院
 すっかり気が狂ってしまったトムは精神病院に入り、毎日女神を想い歌い続けていた。そこへアンが面会に来たので、トムはアンを女神だと言い跪く。アンはトムに優しくキスをするが、トムはもうアドニスと呼ばなければ返事もしなくなっていた。アンは「自分の想いは変わらないが、彼はもう私を必要としてないでしょう..」と溜息をつくと、一緒に来ていた父のトゥルーラヴと共に病院を後にした。その後すぐにトムは正気に戻らぬまま亡くなり、周りにいた病院の患者たちは、女神に愛されたアドニスが死んでしまったと嘆く。(幕)
エピローグ
 幕前に登場人物たちが現れ、物語の教訓を語り出す。アンは「愛と美で放蕩は救えない」、ババは「男とはおかしなもの」、トムは「放蕩者にならぬよう気を付けろ」と言い、トゥルーラヴはトムに同意する。そして最後にニック・シャドウが「私のような者は存在しない方がいいのですが..」と言いかけると、皆が「怠惰なあなたのために、悪魔は仕事を見つけてやってくる!」と合唱し、全員幕の中へと消えていく。
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