【あらすじ】
時と所:紀元前7世紀〜6世紀頃・バビロン
全1幕/ネブカドネザル王の宮殿(教会内部を宮殿に見立てている)
(暗闇に一筋の光が差し、修道院長と修道士たちが無伴奏聖歌「サルス・エテルナ Salus aeterna」を歌いながら登場。小太鼓とオルガンの合図で修道院長がこれから始まる物語の概要を語ると、占星術師の衣裳に着替える。修道士たちも修道服を脱ぎ捨て、それぞれの役の衣裳になる。)
伝令が宮殿を訪れた人々を集め「3人の優秀な若者が高官に任命された」と皆に紹介する。それを満足気に眺めるバビロニアの王ネブカドネザルに、3人の若者たちは心からの忠誠を誓う。しかしこの3人、占星術師の反対意見を無視して王が独断で選んだユダヤ人たちだったので、占星術師には多少の不満があった。ただ「3人の名前をバビロニア風に変えるべき」と言う占星術師の意見は取り上げられ、アナニアスは「シャドラク」、ミサエルは「メシャク」、アザリアスは「アベドネゴ」と改名された。やがて祝いの宴が始まり皆は歌や踊りや食事を楽しむが、占星術師がふと見ると、3人のユダヤの若者は食べ物に全く手を付けていない。彼らは王の杯さえ断るので、占星術師は「王に対して無礼だぞ!」と戒める。しかし3人は「イスラエルの神の教えにより、野菜以外の物は口にできない」と頑なにこれを拒否し、占星術師が「だから信仰の違う外国人の起用は反対だったのです!」と王に迫り、王は気分を害し退出。重苦しい雰囲気にその場にいた人々も皆立ち去ってしまった。残された3人の若者は「改名はしたが信仰は変えられぬ…エホバの神よ我らを救い給え!」と祈る。やがて黄金の像を持った式部官が現れ「王への忠誠の証として、この像を拝むように」と彼らに告げるが、「異宗教の像は拝めない」と拒む3人。それを聞いた王の怒りは我慢の限界を超え、3人は炉の炎の中で処刑されることになった。しかしどんなに炉に火をくべても3人が燃えることはなく、どこからか現れた天使が飛ぶ中普通に立っている。すると王は「彼らの神はより地位が高いのだ!」と3人を助け、占星術師を退かせると黄金の像を打ち倒した。王はこの奇跡の出来事に感動すると、彼らの神に帰依することを決め、人々と共に新しい神を讃え合唱する。辺りからは天使の声が聴こえる。
(修道院長が物語の終わりを告げ「強い信仰には希望の光があるのです」と聴衆に語り掛けると、元の修道服に着替えた修道士たちと共に再び「サルス・エテルナ」を歌いながら闇の中へと消えて行く。)(幕)
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