第2幕
第1場/ドムシークの家
明け方から民衆の力強い歌声が街に響く。ドムシークは目を覚ましたブロウチェクにも戦の準備をさせるので、ブロウチェクは逃げ出したくなった。そこへ礼拝に行っていたドムシークの娘クンカ(マーリンカに似ている)が、客と共に帰って来た。クンカは「フス派の指導者であるジシュカ将軍の元、皆で結束を固めて来た」とドムシークに告げる。ドムシークはブロウチェクに髭面のヴァツェク、金細工師のミロスラフ、孔雀のヴォイタという三人の同志を紹介すると、士気を高めるために杯で乾杯した。学生たちもやって来て、戦いに向け心を一つにする。ドムシークはブロウチェクにも戦いに参加するよう言うが、ブロウチェクが頑なにこれを拒否するので皆は怒り出した。そこへクンカの恋人ペツシーク(マザルに似ている)が現れ「敵がヴァルタヴァ河を渡って攻めて来た!」と告げるので、一同は武器を持ち次々と飛び出して行く。外からはフス派の民衆の合唱「汝ら神の戦士にして、その法を守る者たちよ!(実際にこの時期に作られた有名な曲を、原曲通りに引用)」が聴こえている。結局ブロウチェクはクンカと、この家の家政婦ケドルタと共に家に残るが、居た堪れずに自らも武器を持って外に出て行くクンカを尻目に、ブロウチェクはさっさと自分の服に着替え部屋を後にする。家政婦のケドルタが皆の無事を必死で祈り続ける中、民衆は「チェコ国民よ、奮起して立ち上がれ!」と力強く歌い続ける。
第2場/プラハの旧市街広場
ジシュカ将軍率いるフス派教徒軍は勝利を収め、皆の祝福の中凱旋した。広場ではペツシークの先導で民衆が「子供たちよ、一緒に集おう! Ditky, v hromadu se sendeme!」と勝利の歌を歌う。ブロウチェクは目立たないように身を隠していたが、二人のターボル派兵士(フス派の仲間)に見つかり「武器はどうした?」と尋ねられたので、必死に「剣は敵の馬に刺したまま」だの「ジシュカ将軍にも会った」だのと嘘を並べ立てた。ところがそれを聞いていたペツシークがすぐに「それは嘘だ!」と叫んだ。そこへクンカがやって来て、父ドムシークの戦死を嘆く歌を歌う。ペツシークは「そいつは敵の十字軍に、自分は味方だとドイツ語で言っていた!」と証言し、ブロウチェクは裏切り者として処刑されることになった。家政婦のケドルタはブロウチェクに向かい「地獄へ落ちるがいい!」と吐き捨てた。ブロウチェクは樽に入れられ火を点けられる。熱さに苦しむ中その火が段々と小さくなり…辺りは真っ暗になる。
ブロウチェクが目を開けると、そこは見慣れたヴィカールカ亭の中庭だった。小さく見える火は、店主ヴュルフルの持つローソクの火だ。ヴュルフルは酔って樽に嵌まったブロウチェクを助け出すと「今回は何処へ旅してらしたんですか?」と笑って聞いた。ブロウチェクは「十字軍と戦い、プラハ解放に一役買ったのだ!」と自分の武勇伝を語り出す。そしてそっと「これは内緒の話だよ」と付け加えた。(幕)
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