【あらすじ】
時と所:1940年代・アメリカ
全1幕/ルーシーのアパート
ルーシーが一人朝食を食べている所へ、恋人のベンが訪ねて来た。ベンはルーシーにプレゼントの箱を手渡すと「1時間後には汽車で旅に出るんだ。長居できないから手短に用件を話すよ」と言った。ルーシーはプレゼントの箱を開け、中から出て来た可愛い模様のポットに大喜びしながらベンに抱きついたが、その時ちょうど親友のマーガレットから電話が掛かってきた。するとルーシーはベンそっちのけでマーガレットとお喋りを始めてしまう。ようやく電話が終わり、痺れを切らしたベンがルーシーに話しをしようとすると、またしても電話のベル。今度は間違い電話だったのですぐに受話器は置かれたが、時間を気にするベンに「時報を聞いて正確な時間を教えてあげるわ!」と再び受話器を取るルーシー。ベンの顔からはすっかり笑顔が消えてしまった。その後間髪入れずに次のベルが鳴ると、ルーシーは男友達のジョージと電話で喧嘩をし、慰めるベンを他所に泣きながら寝室に引っ込んでしまう。ベンは時間が無いと焦りながら「何度も何度も試みたのに
Try again and again」と歌うと、これも全て電話のせい…とばかりに、電話線をナイフで切ろうとする。しかし部屋から出て来たルーシーが怒ってこれを止める。ベンはどうしても聞いてほしいことがあると必死でルーシーに訴えるが、彼女は「お願い、もう一本だけ電話をさせて」と甘えた目でベンを見て、今度は女友達のパメラに電話をし、先程のジョージとの喧嘩の一件を報告し始めた。長く終わらない電話にベンはとうとう話しを諦め、部屋をそっと出て行くと深い溜息を吐いた。彼は今日旅に出る前に、どうしてもルーシーにプロポーズをしたかったのだ。
電話の済んだルーシーが部屋を見回すとベンの姿がない。ルーシーはふと言いようのない淋しさに襲われたが、その時また電話のベルが鳴る。受話器を取り耳に当てると、ベンの声が聞こえてきた。彼は外から電話を掛けてきたのだ。ベンの「結婚しよう」の言葉に、ルーシーは大喜びで「勿論よ!」と答える。そしてルーシーが「旅行中毎日私に電話をしてね。私の電話番号を忘れないでね!」とベンに念を押すと、二人は声を揃えてルーシーの電話番号を確認し合った。(幕)
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