第2幕 第1場
同じ日の日没前、夫は看護婦のユニフォームを着て子供たちの世話に忙しい。なんと夫は40049人の赤ちゃんをたった1日で生産することに成功したのだった。そして夫は子供たちの未来の成功を思い描いて楽しんでいる。
第2場
子供を産む男の話を聞きつけて、パリから新聞記者がやって来た。インタヴューで夫は子供たちを紹介する。「子供の一人はミルクの斡旋業で儲け、もう一人は有名な作家になりました」と自慢する。
第3場
夫は父である喜びにあふれ、子作りを続けている。彼は次の子を新聞記者にしようと決めると、必要な構成物質を混ぜ合わせ、魔法をかけるような身振りをする。驚いたことにあっという間に18歳の新聞記者が誕生する。
第4場
しかし息子の新聞記者は、夫が子供作りでもうけた報酬に目を付け、子作り産業についての過失を暴くと、夫を恐喝する始末。
第5場
裏切られた夫は恩知らずの新聞記者を生んだことを後悔して「あの子は失敗作だ」と嘆く。しかし失敗にめげることなく、今度はいつでも最高の洋服を提供できる洋服屋を作り出そうと思いつく。
第6場
一方、明らかに夫に恋をしている警官は、最近の夫の働きに感銘さえ受けている。その時緊急事態を知らせるアラームが鳴り響く。急増した40050人の赤ちゃんのためにザンジバルの食料が底をついてしまったのだ。さらに戦いの前線から戻った、空腹の負傷帰還兵によって食糧不足はさらに深刻さを増していた。夫は食糧割り当てカードを発行させ何とかしようと奮闘する。
第7場
そこに予言者が現れ、「夫の超多産は豊かさを生み、警官の不妊は社会をどん底に突き落とすだろう!」と訳のわからぬ予言をする。屈辱的な予言に憤慨した警官は予言者を襲おうとするが、逆に予言者が警官をしめ殺してしまう。夫は新しい恋人であった警官のために復讐をしようと、予言者に襲い掛かり予言者のマスクをはぎ取る。すると現れたのは他でもないテレーズであった。殺されたはずの警官は生き返り、一人立ち去って行く。夫は看護婦の服を脱ぎ棄て、町の人々は戦争の負傷兵から優雅な隣人にかわっていく。テレーズは乳房を解き放ってからのさまざまの経験を通して何より一番大切なものは「愛である!」と認めるのである。
第8場
テレーズと夫は、町の人々と「お互いに愛し合おう!」と歌いながら愛のワルツを踊る。夫はパンケーキのように平らな胸になってしまったテレーズに、失った乳房の代わりとして二つの風船を渡す。しかしテレーズは夫にありのままの自分を受け入れることを要求し、風船を空に放ってしまう。迎える壮大な終焉の祝賀祭。警官は町の人々に再び叩きのめされる。そしてテレーズも夫も町の人々も皆こぞって「子供を作ろう!」と叫び、めでたく幕となる。
RETURN
オペラ名曲辞典TOP