W.A.モーツァルト
K.621オペラ・セリア
皇帝ティトの慈悲
La Clemeza di Tito
原作:伊/メスタージョ/Metastasio
改作:マッツォーラ/Caterino Mazzola
初演:1791年9月6日プラハ国立劇場
演奏時間:第1幕約65分/第2幕約70分/合計約2時間15分
楽器編成:2Fl,2Ob,2Cl(Basset-Hr),2Fg/2Trp,2Hr/Timp/Str
概説:
ローマ皇帝ティトゥスは、ローマのヴェスヴィオ火山が噴火した頃に実在した人物で、在位は2年と短かったが、慈悲深い人柄で後世に語り伝えられた。ティトはイタリア語読みである。モーツァルトの死の年、「魔笛」とほぼ同時期に書かれたオペラ。ケッヘル番号はこちらが621で魔笛は620だが、初演の順番は逆で、こちらが9月の初め、魔笛は9月末である。神聖ローマ皇帝レオポルト2世がボヘミア王となり、戴冠式をプラハで行った際の祝典用として依頼された。皇帝の戴冠にあたっては「君主の慈悲」という内容がふさわしいとされ、この台本が指定された。このようなオペラ・セリアは地味なため、モーツァルトの作品群の中でもマイナーとされ、恋愛もののオペラと比べると格段に上演回数は少ないが、内容は高く、ティトを好むオペラファンも多い。モーツァルトは1770年、父と共にイタリアに旅した際、誕生日の直前の13歳の時、ハッセのオペラ「皇帝ティトの慈悲」を観ている。最晩年に同じティトを題材にした仕事を任され、子供の頃訪れた輝かしいイタリアを想ったであろうこと、魔笛やレクイエムと作曲時期が重なることなどを踏まえて観ると、また何か感慨深いものがある。
最終更新:20100706

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