【基礎データ】
死の家
Z mrtveho domu
From The House Of The Dead
Aus einem Totenhaus
作曲:レオシュ・ヤナーチェク
Leos Janacek(チェコ,1854~1928)
台本:作曲者、チェコ語
原作:フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー/Fydor Mikhaylovich Dostoyevsky(1821~1881)「死の家の記録/FROM THE HOUSE OF THE DEAD」、ロシア語
初演:1930年4月12日,ブルノ、国民劇場/Brno Theater
演奏時間:(前奏曲5分,第1幕24分,第2幕33分,第3幕34分)合計約1時間36分
楽器編成:
4Fl(Pic),3Ob(EH),3Cl(Bs-Cl),3Fg(K-Fg)/4hr,3Tp,3Tb,Tub/Tim,5perc/Hf,Cel,Btrp/Str
概説:「死の家」はヤナーチェク9曲目のオペラである。1928年肺炎のために急死したヤナーチェクの机の上には書き上げたばかりの「死の家」第3幕のスコアが置かれていた。彼はこの作品を常用の印刷された大型の五線紙ではなく、小型の白紙にフリーハンドで五線譜を引きながら作曲を進めていた。3幕の自筆譜はまだ清書前で、しかもオーケストレーションは部分的に響きが薄くなり過ぎる程、室内楽的傾向をとっていた。そのため弟子のブルブノとバカラは未完成作品として、かなりの加筆修正を行った。その結果、オーケストレーションはより重厚でロマンティックな響きを持ち、冷徹な悲劇に立ち向かう連帯の力を表現した終焉は、楽観的な自由讃歌に書き換えられてしまった。初演はこの「ブルブノ=バカラ」版で上演されたが、ヤナーチェクの意図を外した改定は批判され、同じくチェコ出身の名指揮者ラファエル・クーベリックなどの手により見直しが進み、現代ではほぼ原曲に近い形で演奏されている。ヤナーチェクは「死の家の記録」を台本化した理由として「個人の主役が存在せず、斬新な集団性が表現されている事に興味を覚えた」と語っている。またスコアの表紙には「どんな人間にも神聖な閃きある」とこのオペラの思想を明記している。不気味で簡潔な響きを持って語られる牢獄生活に、時にはっとする程美しく切ない旋律が織り込まれ、聴く者を引きこむヤナーチェク渾身の名作。原作はドストエフスキーの実体験に基づいたと言われる『死の家の記録』。
by MI
最終更新:2009年7月23日

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