第4幕/皇帝の宮殿
皇帝の花嫁に選ばれたマルファは、皇妃になってすぐに病で伏せるようになった。父であるソバーキンは、心配で娘の側に付き添った。そこへマルファを自分のものにしようと画策していた男、親衛隊員のグリャズノイが現れた。マルファは起きてくると「私が毒を盛られたという噂は嘘です」とグリャズノイに言った。しかしグリャズノイの口からは、意外な返事が返ってくる。マルファに毒を盛ったのが彼女の元婚約者ルイコフで、グリャズノイは皇帝の命令で彼を処刑したというのだ。まだ心からルイコフだけを愛しているマルファは、それを聞きショックで気を失ってしまった。そして目を覚ました時、彼女は目の前のグリャズノイをルイコフと思い込み、皇帝の花嫁に選ばれた夢を見たと話し出す。その眼差しは幸せに輝いていたが、マルファはもう正気ではなくなっていた。ルイコフとの幸せな日々の中に一人戻ってしまったマルファを見て、宮殿内の人々は胸を痛めた。グリャズノイも、医師ボメーリーの調合した薬が、惚れ薬ではなく毒であったことに腹は立てたが、全ては自分が起こした悲劇。罪の重みに耐えきれず、皆の前で今まで自分のしてきたことを告白した。するとそこへ彼の愛人リュバーシャが飛び出して来て、薬を毒と入れ替えたのは私だと叫んだ。怒りで逆上したグリャズノイが、すぐさまリュバーシャの胸を剣で一突きすると、彼女はこれで本望と言わんばかりに、微笑みながら死んで行く。自分には地獄へ行くよりも辛い罰を与えて欲しいと言うグリャズノイは、望み通り捕えられ、最後にマルファへ向かい懺悔のアリアを歌う。そんなグリャズノイに、マルファは「ルイコフ明日もきっと来てね!」と無邪気な笑顔を向けるのだった。人々が神に祈りを捧げる中、幕となる。
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