第3幕
 宮殿の庭に、群衆が集まっている。トゥーランドットの命令で、北京の役人たちは寝ずにカラフの名前を調査している。やがてカラフは彼女への愛と勝利を確信して、これも有名なアリア「誰も寝てはならぬ」をうたう。そこへピン、パン、ポンの3人があらわれ、若い女性や金銀の財宝を見せて、威したり誘惑したりして、彼の名前を聞き出そうとするが、巧くことが運ばない。すると兵士たちが、ティムールとリュウを捕えて引き立てて来る。人々がこの2人と、あの若い王子が話してるのをみたというので、ピンはティムールを拷問にかけて口を割らせようとする。リュウは自分だけがその名を知っているといってティムールを庇うので、今度は彼女を拷問にかけるが、頑としてリュウは口を割らない。そこへ姿をみせたトゥーランドットは、拷問にあっても白状しないリュウの勇気を不思議がる。リュウはそれこそ愛の力と、敢然と答える。そして「お姫様、音楽をお聞きください」と、アリア「氷のような姫君の心も」がうたわれる。そしてうたい終わると、リュウは兵士から短剣を奪い取ると、それを自らの胸に突き立てて自害する。ティムールはリュウの亡骸に取り縋って泣くが、役人たちが彼女の死体を運び去る。2人だけになるとカラフは、トゥーランドットにそっと愛を囁き、彼女の心も次第に溶けて、優しくカラフに寄り添い、口づけを受け入れ目に涙を浮かべる。そして耳もとに「私の名はタタールの王子カラフ」と告げ、トゥーランドットもこの若者の名が分かったと叫ぶ。
 王宮前の広場には群衆が集まり、トゥーランドットは皇帝の前に、カラフを伴なって進み出て、全員の前でこの若者の名前が分かった宣言し、「その名は愛」と誇らしげにうたい上げる。そして群衆もその歓呼に応え、高らかな合唱が湧き上がる。そして2人は互いに駆け寄って抱き合い、「おお太陽、生命、久遠」と喜び壮麗に幕となる。
(C) 出谷 啓
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