【あらすじ】
時と所:1905年頃・北国の田舎町
第1幕/ヴァネッサ邸の客間
 吹雪の夜。屋敷の居間ではヴァネッサと姪のエリカが、使用人に夕食の献立を指示している。この部屋の中の鏡や絵画は、何故だか全て布で覆われていた。今夜はヴァネッサが二十年以上も待ち続けた、恋人のアナトールが戻って来る日。食事やお酒の準備には余念がない。そんな中、ヴァネッサの母である男爵夫人はただ黙って暖炉の前に座っていた。なかなか来ない待ち人に苛々し始めるヴァネッサに、エリカは気晴らしにと本を読んであげるが、男爵夫人はヴァネッサには声も掛けず、エリカにだけお休みのキスをして寝室へ行ってしまった。彼女が娘のヴァネッサに話し掛けることは決してない。その時客人の来た知らせがあったので、ヴァネッサは急いで出迎える。しかし現れたのは恋人アナトールではなく彼そっくりの息子の姿。ヴァネッサはショックで寝込んでしまう。一人残されたその青年の名もまたアナトール。彼は既に亡くなっている父親からヴァネッサの話を聞き、彼女に興味を示しやって来たのだ。彼はエリカを見付けると自分の正体を明かし「吹雪も酷いので今夜は泊めて欲しい」と言うと、目の前にある豪華な食事が勿体ないと勝手にテーブルの席に着いた。始めは渋い顔をしていたエリカも、一緒に食事をしながらお酒が進むうちにすっかり機嫌がよくなり、その夜はアナトールとの夕食を楽しんだ。
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