第4幕
第1場/エリカの寝室
 アナトールが数名の男たちと共に、意識を無くしたエリカを屋敷に運び込んだ。彼女は雪の中、湖の近くで倒れていたのだ。すぐさま老医師が彼女を診察する。ヴァネッサはどうしてエリカがこんな無茶をしたのかと嘆き「もしかして貴方が原因なの?」とアナトールに詰め寄ったが、彼は「全く心当たりがない」と答える。暫くすると寝室から医師が出てきて「エリカは男爵夫人とだけ話しがしたいそうだ」と言い、男爵夫人が呼ばれた。エリカは心配そうに「ヴァネッサたちは全てを知っているの?」と夫人に尋ねたが、「自分が話さないのだから知る訳がない」と夫人が言うので、ホッと胸を撫で下ろした。しかし夫人はエリカの子供が駄目になってしまったと聞くと、それ以降エリカとも全く口を利かなくなってしまった。
第2場/客間
ヴァネッサとアナトールは結婚し、パリの新居へ向かうための支度をしている。老医師がやって来て別れを惜しむ。アナトールと医師が荷物の確認をしに行ったところで、エリカと二人きりになったヴァネッサは「あのパーティーの日、貴女が倒れた本当の原因はアナトールだったのでしょう?」とエリカに聞いた。エリカは「あれは全く違う人のことでああなったのです。もう忘れてください」と答え、使用人たちに別れを告げに行くヴァネッサを見送った。そしてエリカは二階から降りて来たアナトールに「ここであったことは全て忘れて、貴方を心から愛しているヴァネッサを幸せにしてあげてください」とそっと囁いた。
 二人が去った後、エリカは使用人に部屋の全ての鏡や絵画に再び布を被せ、屋敷中の門を施錠するよう言った。そして「今度は私が孤独に待つ番なのね…」と呟きながらヴァネッサの席に腰を下ろす。傍らにはすっかり話さなくなった男爵夫人が座っていた。(幕)
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