第6場/アフロシモーヴァ邸
アナトールとの駆け落ちを決めたナターシャは、両親不在のために預けられている名付け親アフロシモーヴァの家で、アナトールが迎えに来るのを待っていた。けれどもそれを知った従姉妹のソーニャが、アフロシモーヴァに全てを伝え、アナトールは家に着くなり従者たちに追い返され、ナターシャは出ていかないようにと取り押さえられた。泣き崩れるナターシャに、アフロシモーヴァが「あんな愚か者のために馬鹿なことをするんじゃない」と説教をしたが、ナターシャはアナトールを信じると言う。そこへアナトールの義弟でありアンドレイの友人でもあるピエールが訪れ、アナトールが既婚者であることを伝えると、ナターシャはようやく自分の間違いに気付き心から後悔する。ピエールは「アンドレイには貴女が謝っていたと伝えますが、私も貴女を愛していたのに!私には妻が、貴女にはあの素晴らしいアンドレイがいるので耐えていたのに..」と言い立ち去った。程なくしてナターシャの「ソーニャ助けて!私砒素を飲んでしまったの!」という叫び声が聞こえ、ソーニャとアフロシモーヴァは驚いてナターシャの許へ駆け付ける。
第7場/ピエール・ベズーホフ伯爵邸
ピエールの妻エレンが僧院長とカードゲームをしている所へ、フランス人医師のメティヴィエがやって来て「ボルコンスキー老公爵邸に挨拶に行ったら、ナポレオンの手下めと追い返されたよ」と話す。エレンは近くにいた兄のアナトールに「貴方は老公爵の息子のアンドレイにも気を付けなきゃね」と意味ありげに囁いた。そこへピエールが帰って来てエレンに「君の周りには悪行と堕落が渦巻いている!」と言い出すので、エレンは不機嫌になり皆を連れて部屋を出ていった。ピエールは一緒に出ていこうとしたアナトールを呼び止め、ナターシャとの一件を卑劣な行為だと責めるが、アナトールはまるで悪びれない。怒ったピエールは「君に少しでも良心があるのならモスクワから出ていき、ナターシャとのことも今後一切口外するな」と凄んでみせ、テーブルにお金を投げ付けた。アナトールは散らばったお札を拾い集めると、さっさと部屋から出ていった。ピエールは自らの迷いだらけの人生を振り返り、このままここにいても本当の生きる道は見つからないと、自分もこの家を出る決心をする。そこへデニーソフ中佐がやって来て「ロシア国境にナポレオンが軍を集結させた!」と戦争の始まりを知らせた。
第2幕 戦争
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