田舎の宿屋の女主人で娼婦のシルヴィアは真実の愛の無い生活に悲しみ、愛に感激して泣く事すら出来なくなった、と嘆いている。その時宿屋の下からリュートと共に若者の歌声が聴こえてくる。少年ジプシーがシルヴィアの存在に気付かず、身なりがみすぼらしく宿屋にも行けずにいる事を嘆き、宿屋前のベンチで眠ってしまう。シルヴィアはこの少年が美しい事に心を奪われる。少年を起して話を聞くと、彼は自身をザネットと名乗りジプシーの吟遊詩人であるという。お互い惹かれ合うがシルヴィアはこの純真な美少年が卑しい自分と関わってはならない、と自制し、少年を突き放す。「それならばせめて美人誉れ高いシルヴィアに逢ってみたい」と懇願するが「貴方のような清らかな心を持った若者が逢う人物ではない」と断る。シルヴィアは「この指環を私達の想い出に」と言って自らの指環を外しザネットに渡そうとするが、彼は「そんなモノよりあなたの髪に飾っている花が欲しい」とねだる。シルヴィアは「この花は明日には枯れるでしょう。枯れたら私の事は忘れてちょうだい」と花を渡して別れを告げる。独りになったシルヴィアは再び愛に泣けるようになった、と感激して泣く。(幕)
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