2000-06

皆さんこんにちは
前回の記事からはや半年が過ぎ、このHPの読者の方からも“その後HPの更新がないようですがお元気でしょうか?”というようなお便りを時々いただき、皆さんにこのHPを読んでもらっていることを実感しているこのごろです。私はおかげさまでとっても元気にこの半年をすごしました。
毎日新しいことが起きて、“あ!これはHPに記事になる!”と思うことばかりでしたが、何しろ静かに机に向かってこの原稿を書く時間がなくてこうして今まるでたまった夏休みの日記を各子供の気分でキーボードを打っています。

たまった夏休みの日記を書くときは最初の方から書かずにまずは昨日と今日を書くといい、と小学校の頃誰かにアドバイスされたのを思い出したのでこのHPもまずはごく最近の様子からお話を始めたいと思います。

<タングルウッド音楽祭>
昨日より私はタングルウッド音楽祭に参加するためにマサチューセッツ州バークシャー地方に来ています。
この音楽祭は小澤征爾さんが音楽監督をしているので日本でも大変に有名になっていますが今年は小澤さんの指揮によるヴェルディ“ファルスタッフ”もプログラムに加わりバッハのカンタータ作品からシェーンベルク、ワーグナーのオーケストラ作品、オペラ、そして毎年8月にある“コンテンポラリー ミュージック フェスティバル”と実にさまざまな時代と種類の音が毎日予定されています。

またアスペン音楽祭が行われているアスペンも世界的に有名な避暑地でしたがここバークシャー地方もアメリカでもっとも古い避暑地だそうでたくさんの緑に囲まれた美しいところです。
(青森の十和田、八甲田山の雰囲気と似ている、と感じているのは参加者の中でもきっと私だけ・・・・?上の写真はタングルウッド。右が十和田湖です!)

タングルウッド音楽祭、アスペン音楽祭などこういった夏の音楽祭にはプロの演奏家による演奏会とプロを目指す学生のための夏も音楽学校の二つから成り立っているもの多くあり私が今生活している寮にも約100人の若い音楽家、学生が8月20までの約二ヶ月間をともに過ごします。

?音楽祭に参加するためには・・・・
こういった音楽祭に参加するためにはテープやライブなどのオーディションが必ずあります。そしてそれらのオーディショは音楽祭が終わってまだ間もない10,11月に始まります。(器楽はもう少し遅いものが多いです)ですから8月の下旬に音楽祭が終わり、9月に学校へ戻ると次年度の各音楽祭の予定、プログラム、そして申し込み用紙がすでに学校に案内されていて、自分が習いたい先生がいる音楽祭、自分が勉強してみたいオペラ等、自分の目的に応じて選び、応募します。
(オーディション申込金もかかりますが、高いもので5千円くらいです、)
たとえば去年私はタングルウッドのほかに、二つオーディションを受けました。もし全部受かったら自分にとって条件のいいものを選べばいいわけですからジュリアードの学生も片っ端から受けていました。またこうしてあちこちもオーディションに顔を出すことで、その年の音楽祭には抜擢されなくても別の機会に使われることもざらにある、というのがまた大きな特徴といえます。

さてタングルウッドのオーディションの話に戻りましょう。
私がタングルウッドでファルスタッフをやる、ということを知ったのはなんとアルバイトをしている学内の郵便課で他の人にきた案内のはがきを見てしまったことに始まります。こういうことは早いに越したことがないので早速にタングルウッドの事務局に連絡をとり申し込み用紙を送ってもらい、必要事項を記入してお金を添えて再びタングルウッドへ送ります。そして今回特徴的だったのは各自がオーディションの時間を予約アスルために事務局の別な人と連絡をとらなければならなかったことです。極端なことを言うと、申し込み用紙はまだ出していなくてもとにかくオーディションの時間をとにかく抑えなければならないわけです。
私の友だちは申し込みも全て終えていたのにオーディションの日程のための電話を“明日でいいや!”と延ばしているうちにNYでのオーディションがもう予約でいっぱいになってしまって結局オーディジョンをあきらめなければならない人がいました。彼女が必ずオーディションに受かるかどうかは誰もわからないことではありますが、もし受かっていれば小澤さんの指揮のもとで歌うことができたわけです・・
彼女“もう一日早く電話をすればよかっただのに!”としばらくあきらめきれない様子でした。オーディションは二回に分けられていて一回目はタングルウッドで教える声楽の先生たちの前で、そしてそれに合格小澤さん、演出のデーヴィっド・ニースさんの前で12月の初旬に歌いました。
合格の連絡はちょうどクリスマスの前に来て“とっても素敵なクリマスプレゼントよ!”という電話をもらったのを今でも思い出します。その後はタングルウッド音楽祭に向けての準備のみに専念、というわけです。

今回はダブルキャスト(同じ役に歌手が二人いる状態、チームが二つあるというといいのでしょうか)で公演が二回、ということで各キャストが一回ずつ歌うことになります。チケットは発売と同時に完売し、公開ドレスリハーサルのチケットもほとんどない、と聞いています。
ファルスタッフには10の役があり、それが今回はダブルキャストなので計20人の歌手がいます。(まだ全員に会っていませんが・・・)そのうちアジア系の名前が3人、(日本人は私一人)残りははアメリカ人とカナダ人で今回は構成されています。
今晩一幕の音楽稽古があるのでとっても楽しみです。

ちなみに公演は7月30,31日公開ドレスリハーサルは7月28、29日です。
まだ20人の歌手がどのように組になるか、また私がどちらの日に出るかは発表されていません。チケットが完売とは聞いていますがまだいくらかあるかも(?)知れません。その頃タングルウッド方面のお出かけの方、ぜひタングルウッド音楽祭に寄ってみてください。オペラ以外にも毎晩本当に魅力的なプログラムが組まれています。
(左がセイジ・オザワ・ホールです。)

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