Opera Reviews
オペラ評
プーランク作曲 カルメン会修道女の対話
ジュリアードオペラセンター
2001.04.25
Poulenc: Les Dialogues des Carmelites (Juilliard Opera Center)
Julius Rudel (Conductor), Frank Corsaro (Director), Simon O'Neill (Le Chevalier de la Force), Young-Bok Kim (Le Marquis de la Force), Lauren Skuce (Blanche de la Force), Valentin Lanzrein (Thierry), Makiko Narumi (Madame de Croissy), Greta Feeney (Soeur Constance de St. Denis), Guang Yang (Mere Marie de Incarnation), Young-Bok Kim (Dr. Javelinot), Angela Fout (Madame Lidoine), Christina Carr (Mere Jeanne), etc.
The design team for this production includes Franco Colavecchia and Ina Mayhew, Set Design and Visuals; Christianne Myers, Costume Design; and Matt Frey, Lighting Design.
先日の『Die tote Stadt』と同じCorsaroによる舞台であった。舞台装置はパネルなどを使った基本的に抽象的なもので、上下にスクリーンを動かしたり歌手のシルエットをスクリーンに投影して簡素ながらも視覚的に効果のある演出であった。
予想に反して英語上演であったところをのぞけばRudelによる指揮、選び抜かれたJuilliardの歌唱陣とも満足のいく水準であった。主役Blancheを演じたSkuceは演技力・歌唱力共に優れており、大役を十分に背負ってオペラの中心としての重責を果たしていた。強いて言うならば、Blanche役にしては少し情熱と決断力を持ちすぎているように見え、この役に求められる優柔不断さや、絶えず不安におののく心理の表現が感じられなかったと思うが、別なBlanche像として受けいれられるものであった。
Madame de Croissyを歌ったNarumiも力強い歌唱と演技によって舞台上で大きな存在感を示した。死を目前にしての恐怖と悩み、その一方で新米修道女であるBlancheを慈しんでかつ愛おしむ姿の両面を見事に演じたのは特筆に値する。私はこれまで数多くの米国内でのオペラ公演に足を運んできたが、日本人歌手がこれほど重要な役を演じたのを観るのは初めてであったし、活躍した舞台を触れたのも初めてであった(彼女は昨年もJuilliardのArmideに出演しているが端役であった)。彼女には今後の活躍を期待したいものである。なお、この日のキャストのdictionは英語公演と言うこともあり全般的に良かったのだが、彼女のは特に良かったことを付記しておく。
Constanceを演じたFeeneyは声楽的には線が細かったがBlancheとは対照的な根からの楽天家としての朗らかな役柄は良く演じられていた。Blancheの父と兄をそれぞれ演じたO'NeillとKimはいずれも安定した演技で脇を固めた。O'Neillは数年前にMSOMのLotharioに出演しており、このときはLeggeroであったが、その後より重い声を獲得したのであろう、この日の役には少し強すぎると思われるドラマティックな歌唱であった。
(イーグルのNYオペラ情報から、ご厚意により転記しました。 )
◆1999年11月〜グルックのアルミーデの短評が掲載されています。