2002-02 |
暖冬に恵まれた今年のニューヨークはぬけるような青空がまぶしく、ついついアイスクリームでも求めたくなるような気分になるほどです。さて、私の体調のことにつきましては、会員の皆様に大変にご心配をおかけしておりました。治療の右はゆっくりではありますが順調に進んでおり、演奏活動もニューヨークを中心にしながら再開しております。皆様からの温かいお手紙やお見舞いは、異国での病気治療で心細くなっていた私や家族を何よりも強く支え励ます源となりました。ここにあらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。最近の演奏活動の中から、皆様にご報告申し上げたい以下の2つのイベントを紹介させていただきます。 2001年12月10日、マーラー作曲交響曲第2番“復活”、カーネギーホール 指揮:ヤーヤ・リン ソプラノ:メリッサ・ジッパン アルト:鳴海真希子 ジュリアード・オーケストラ 合唱:コーラスユニオン 主催:ジュリアード音楽院
ジュリアードでは通常定期演奏会をジュリアードシアター、もしくはエイヴリーフィッシャーホール(ニューヨークフィルハーモニーの本拠地)でするのですが、今年は特別な企画の年となり、カーネギーホールでの演奏会となりました。そのような名誉なチャンスを独唱者として得たことは本当に幸運でありました。この交響曲の4楽章ではアルトのソロがあるのですが、これは昨年6月のリサイタルで歌ったマーラー作曲「原光」と同曲です。しかし、この半年の間に一時に病気を通して - 経験したことを通じて、曲に対する考え方、態度がずいぶん変化したことを感じました。また幸いなことに当日の演奏ではそうした想いとこれまでの練習が一致した納得のゆく演奏ができました。(これはなかなか珍しい…)満員のカーネギーホールのお客様は、総立ちになって我々演奏者に熱い拍手、そして声援を送ってくださいました。楽屋の方へもお祝いにかけつけた皆様の長い列で、一晴間以上を費やした程です。特にジュリアードのプレジデント(日本でいうと学園長にあたる)Mr.ポリージは格別にこの目の演奏を心に留めてくださり、早速に手紙を送ってくださいました。(お手紙はこちら)
こういうことは特例のことのようで、先生方もこの話を聞いてとても喜んでいた程です。またここで皆様にお話ししたいもう一つのことは、ジュリアードの柔軟な態度です。その頃私の体調は決して万全ではありませんでした。しかし、私のアンダースタディ(控え歌手)を準備し、いつでも私の体調の変化に対応できるようにしてくれたこと、また当日のリハーサルでは少しでも私の体力を温存できるようにと、4楽章から先にリハーサル。私は自宅へ戻り休憩し、そして会場では控えの歌手が全体を通して歌ってくれました。このようにジュリアード(だけでなくアメリカ、ヨーロッパの多くで)は層が厚いので、控えをおいて本番の歌手が気持ちよく、より万全の状態で臨める状況を作ることができます。もちろんこれは本番を務める歌手にとっては安心でもあり、しかし次に続く人達を知るプレッシャーにもなりますが、これがまた互いの研鐙を積んで行く上での良い刺激になると信じています。 当日のポスターで名前を指しています。 指揮者のヤーヤ・リン氏、ソプラノのメリッサ・シッピンさんと共に |