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ハドソン川に夕陽が沈む時刻が少しずつ遅くなりニューヨークの長かった冬の終わりと春の訪れを感じるこの頃です。皆様いかがお過ごしでしょうか。 2月20日、21日のコンサートヘお運び頂きましてありがとうございました。磯貝先生そして共に呼吸法、発声法を学んだ伸間との「Sl Sコンサート」は、今一度自己点検をするまたとない機会となりました。外国に住むようになってからというもの相互理解に不可欠な「言葉」の存在を痛感しているので、言葉を美しくメロディーに載せて歌う使命を今まで以上に感じ臨んだコンサートでした。 また「ヨハネ受難曲」公演で独唱をするのは昨年5月、前トーマス教会音楽監督ハンス・ヨアヒム・ロッチェ氏以来二回目でした。幸運なことに二回目の今回は、現在同教会音楽監督であるゲオルグ・クリストファー・ピラー氏との共演となり、二人の音楽監督から沢山のアイデアを授けて頂く経験を持つことが出来ました。 ゲオルグ・クリストファー・ピラー氏と共に。 しかし、何より私が幸せに感じたことは、再び東京で演奏する機会に恵まれたことです。 今回のすばらしい経験を基にして、相変わらずの英語なのですがそれらを駆使してニューヨークで何とかやっていくエネルギーを充電した様に感じます。 ジュリアードは現在入学試験期間の為、私達は二週間の休みとなりました。 春休み前の締め括りの様に2月24日より四日間学内でクルト・ヴァイル作曲「ストーリー シーン」の公演がありました。オペラ一本を通して演奏することは今回が初めてだったので非常に緊張して心臓は高鳴るばかり、というはずなのですが、時差ボケをどうやって克服するか、いかに重い瞼を開いておくかが大変な四日間でした。しかし一方で、毎回違う観客の反応、演奏する私達のやりとりのテンポの変化等、複数日公演したことで学べた事も沢山ありました。 5月中旬で後期が終わりますので、緑の美しい日本へ帰る予定をたてています。 皆様にお会いする日を楽しみにしつつ・・・ 皆様のご健康を心からお祈り申し上げます。
1998年3月2日
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