1998-10

「ジュリアードの風景」好評につき再開します!
日本のみなさんこんにちわ。久しぶりのこの原稿に少し緊張していますが、今年度(欧米では9月が新年度の始まりなんです)もこのホームページを通じてこちらの様子を伝えることができれば…という願いをこめて書いています。

新年度の様子を伝える前に一つお話したい事があります。それはこのホームページの仕組みです。
本来このページを開設している佐々木 修さんの絶大なる好意により私の部分を作って頂いているのが現状で、皆さんからのメールは佐々木さんによってその都度ファックスを送って頂いています。私はコンピューターというものをもっていないので、残念ながら、メールを下さった方々には直接お返事できないでいます。が、この原稿の中で対話ができるように工夫してみたいと思います。
皆さんの感想や意見は留学生活をもう一度見つめ直したり、思い出させたり…ホームシックにしてくれたり(!)、と私にとって大切な友人が増えていくかの様です。
来年以降のこと
皆さんからのメールの中で多い質問に「いつまでジュリアードで勉強するつもりですか?」というものがあります。
私は去年、ブロビジョナル・イヤー(仮の学生、英語の研修をまずはして、こちらの英語試験に合格したら正式な学籍をとれる)という立場にあったので、今年度が大学院の1年生ということになります。
ジュリアードの大学院のなかで声楽科だけが卒業に2〜3年必要とうたっています。ちなみに他は2年で修了です。きっと声楽専攻の学生は様々な言葉の取得が必要なうえに、オペラと歌曲の両方を等しく学ぱなけれぱならないからでしょう。(芸大ではオペラ科、独唱科と別れています)つまり、私は少なくとももう1年、成績によってはもう2年いなければならない訳です。

ところが、残念なことに、現在私の学費を主に支えているロータリークラブ財団奨学金との約束が今年度で終了するため、来年以降の資金のメドがたてば勉強を続行できますが、そうでない場合私は外国人なので、ある一定の金額か保証されていないとジュリアードが「ここの生徒です」と証明する( I一20 )という証明書をもらえず、学生として入国ができなくなり、勉強はしぱらくお頂けになります。

新年度早々明るい話題ではないので恐縮していますが、こういう状況も外国人だからより問題になるのだと思いますし、留学する、という冒葉が一般的にもつナニカ華ヤカナイメージと離れた現実部分ではないかと思います。
私は目下奨学金を扱っている財団を探してているところですが、なにしろ海外にいるので日本の情報がありましたら教えて下さいませんか?もちろん、こちらにも財団は沢山ありますが、自国の後輩に出す所は多くてもなかなか外国人まで面倒を見よう、という団体は少なく、少ない=競争率が高い、という様子です。

左の写真:ブロードウェイ通りから見たジュリアードの校舎

2年目がスタート
さて学校の様子ですが、今回はアスペン音楽祭から日本に帰らず直接ニューヨークに入ったせいでしょうか、感覚がぼけることなく移行することができました。また、去年1年いたおかげで先生方とも仲良くやっていますし、この学校の持つ独特の空気にショックをうけることもないので、授業の内容のみに集中できています。

それから今年から少し余裕がでてきたので、ワークスタディといって、学校内でのアルバイトを始めてみました。とりあえず、あまり神経を使わなくもすみそうな郵便課でのバイトをしています。
学校内には掲示板というものが無く、全ての連絡は個人に手紙で連絡されます。(この紙の量は膨大なものだと思います)そういった手紙から、寮に住んでいる学生(私もその一人)への普通の手紙・小包・通信販売のカタログ等々、800人の寮生の部屋に仕分けしたり、各事務室に届けるのが主な仕事です。
このアルバイトを含め(週二回、計六時間)毎日九時から六時までが私の毎日です。
相変わらず、どの教科も宿題が山の様に出るので高校生のような生活をしています。アメリカの大学は入学試験はさほど難しくないが、入学後が大変、ときいてはいましたが、それはハーバードやコロンビアのような大学の話しで、まさかジュリアードで自分が経験するとは思ってもいませんでした。しかしながら、音楽の勉強に、それも大学院の課程に在籍しているのですからこの忙しさも苦にならず、むしろ、沢山勉強できるこの環境に感謝しています。

きっとこの文章を読まれた方から「具体的にどんな勉強をしているのか」という質問がでそうですね。次回はそういった話しをしたいと思います。

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