美原賞受賞挨拶

 

  本日は思いがけず美原賞の顕彰金を頂戴することになりまして 審査にあたられた先生方に厚くお礼申しあげます

 今から18年前になりますか 第6回世界心臓学会が東京で開催された時 ホテルニュ−オ−タニで美原博先生と朝食をご一緒させて頂いたことを思い出します その先生がお作りになった美原賞を頂くことになりまして 大変有り難く思っております

 今年の新春随筆で 日本医事新報ですが 「先生」という題で書かせていただきました いろいろ教えて戴いた先生が次々とお亡くなりなり寂しく思うと書いたのですが 脳血管障害の研究について考えてみますと学生時代ならいました西野忠次郎先生が「脳溢血」の総合研究を始められておられます

 統計的研究で問題点を指摘された渡辺定先生にはずいぶんかわいがっていただきました

 「脳溢血の成因についての衛生学的研究」をやられた近藤正二先生は弘前大学へ出張講義で始めて衛生学を講義された先生ですが その弟子の高橋英次教授のもとに助教授として赴任いたし 今日の研究が始まったのであります

 冲中重雄先生の「日本人の脳卒中の特殊性」の班会議に教授になり立ての私も入れて頂きました そして 久山町研究をされていた勝木司馬之助先生 また同窓の先輩の相沢豊三先生など多くの先生方の教えを受けることになりました

 上田英雄先生らが Japanese Heart Journal を刊行されまして 私にも書かないかとお話がありました これがきっかけになりまして 世界の方々と 知り合うことができましたが 私の書いた論文が A.Keys先生の目にもとまりまして 文部省の在外研究では その研究室へゆくことができました 木村登先生らと国際的な研究を展開されていた先生でした

 そんなことでいろいろな先生かたに教えを受けたことが思い出されます

 私の研究は一言でいえば 脳卒中の とくに東北地方で若い時から多発していた脳卒中について 予防を目標に 疫学的な研究の展開したことでないかと 考えております

 福沢諭吉先生がおっしゃった「学者が学を好むのは 酒飲みが酒を好むがごとし」ではありませんが テ−マに恵まれ 人に恵まれ 研究ができた訳で その上このような賞を頂けるとは 大変光栄にまた有り難く思います

 私のような年金生活者にとっては 顕彰金は大変有り難く 半分は家内にあげなければとは思いますが 何か社会のためにお役にたつよう有効に使わせて頂きたいと思っております

 本日はまことに有り難うございました   (平成8−1−19)

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