火災警報について、一寸考えてみた。
近くの消防本部にきいてみたところ、湿度が40%以下、また最大風速が7メ−トルをこえるみこみのとき火災警報が出されるとのことであった。
ところで、湿度が下がったら、風がふいたら、火事はおこるのであろうか。湿度が下がること、風がふくこと、どう考えてみても、火事の原因とは思われない。にもかかわらず、火災警報は出され、そんなときに火事がおこりやすいのは何故なのか。われわれの生活の中に、火元はいくらでもあるのではないか。たまたま湿度とか風とかの条件が変わったために、火事になるのではないか。とすれば、火元を考えることこそ、火事の予防のために必要なのに、それらは、一向問題にされず、火災警報が出されるだけであり、世の人も別に不思議な顔をしていない。それは、実際に火事を防ぐことからいえば、火災警報が役に立っているからなのであろう。
ところで、われわれの健康問題の研究の途上、相関関係必ずしも真ならず、因果関係を示すものでないとよくいわれる。とくに統計的に物事が処理されたとき、その本体をつかもうと努力している側からよく言われる言葉である。人間の問題に対して、例外のない関係を求めることができるという立場からの発言と思うのだが、疫学研究によって、多くの要因の分析を進めていく途中、最大の要因と思われるものがでてくることがある。それは、あくまでも相関的関係、すなわち例外のある関係であるが、真の要因に関係がないという決定的な判定を下すわけにはいかないし、真の要因を含む可能性もある。とすれば、その関係をもって問題解決の一策とすることは当然であり、必要である。
これにあたるものに食塩と高血圧との関係がある。わが国の食塩過剰摂取に警報を出すのは当然と思うのだが。
前に述べた火災警報など、全く因果関係がないのにもかかわれず、相関関係だけで警報が出され、世の役に立っているものの例といえよう。