”はやけ”といのは、弓を射るときにつく癖の一つである。
中学生になって弓をはじめたとき、すぐ”はやけ”にとりつかれて、大学を卒業するまで直らなかった。弓をとり、的をみて、弦をひきしぼってゆくと、もうあたる気がして、次の瞬間、矢がはなれてしまうのである。
そんなことがあったが、慶應義塾大学医学部の主将として学習院の全国大会に出場して優勝したことがあって、今でも先輩として、部費を送りつづけているのである。
同じような癖というか、性質が自分にはあるようだ。人が物をいったとき、もう何もかもわかった気になってしまって、次の事を考え、又すぐ口に出してしまう。相手のことを何も考えないで、自分を主張してしまうようだ。そんなことで随分失礼してしまっているのではないかと思う。
一を聞いて十を知るという言葉もある。学問の世界で”hunch”が大切なこともよくいわれる。早く物事を見抜くことは良いことには違いないが、どうもはやすぎては、受け入れられないようだ。