ストリップ第二話

 

 以前に”ストリップ”という題で小文を書いたとき、題が題だけによく読まれたようだ。

 ストリップといっても、何も裸になるという意味だけではない。

 鉄塊から薄いブリキにするまでの一貫した工程をもつのもストリップ工場だし、ハイウエイにそって細長い街が次々とできてゆくのもストリップだ。

 でも、”ボルチモア、ロンドン、そして日本の皆生温泉でみたそれは、すばらしかった”と書いたのだが、今度はその第二話である。

 ”栄養による循環器疾患の予防”についての国際医学会が去る11月に京都で開かれ、われわれは尿資料の採取と運搬のため考案した”ろ紙法”を報告した。

 ろ紙の小片に尿をつけ、乾燥させれば、どこへでも郵便で送れる。それでNa・K・クレアチニンが測定できるのだから、その気になれば24時間尿であれ、一ケ月でも一年でも尿中のミネラルが測定できる。だから、この方面で苦労している疫学者は関心をよせたのだ。

 今、広島にきているケ−ガンが、

「ドクタ−ササキ、昨夜のパ−テイ−は食塩が多くてお気の毒」と真面目に語りかけてきたとき、そばにいたニュ−ジ−ランドからきたプライオがすかさず、

「ストリップでしらべたか」とちゃちゃを入れた。

 ここでいうストリップは正にろ紙の小片をさすのである。

 この”ろ紙法”は、そのあと世界の神々があつまって開かれた出雲のワ−クショップで報告した”新自動血圧計”と共に、大いに注目されたものだった。

ろ紙法

 卒業後40周年のクラス会で松浦鉄也君にあったとき、君が近頃書く文章には”色気”が入っていると、昔真面目とみられていたのが近頃様変わりしたことを指摘されたのだが、今度のストリップ第二話は、トップレスならぬ世界のトップの、又極めてホットのニュ−スと思うのである。

(日本医事新報,3115,116,昭59.1.7.)

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