「国試」雑感

 

 国試の採点に、コンピュ−タ−が採用になった年に、国試の委員になって会議にでたところ、それにともなういろいろな問題が全く検討されることなく、採点だけをコンピュ−タ−にまかせることになっていることを聞いて驚いた。こんなことは別の委員会でやることだということで、ただ問題を作成しただけの役目を果たしたが、あれからもう10年以上もたってしまった。

 一つしか正解がない、といったことは(たぶん、現在もそんなふうに問題がつくられ、採点されていると思うのだが)、社会医学の国試では、公衆衛生の分野では考えられないことだ。方向として間違ったものでなければ、正解にしてよいと思うのだが、いくつかのアプロ−チがあり、答えがあってもよいものと思う。そんな問題がつくられ、採点できないものなのか。

 衛生学公衆衛生学教育協議会というものがあって、もう20年以上も毎年会議をもっているが、全国の教授連がこれだという問題をつくってプ−ル制にしたらどうか提案したことがあったが、版権がどうのこおうのといったような若干次元の低い問題で実現しなかったことは心残りである。

(医学教育,14,173,昭58.6.)

もとへもどる