今年、昭和36年の夏には、全国の医学生や、看護学生の皆さんを青森県の八甲田、十和田、弘前へ迎えて、サマ−キャンプが開かれた。
3泊4日のキャンプを通して、久し振りに若い皆さんと生活を共にできたことはうれしかった。そしてこのおぜんだてが弘前大学の学生諸君の手によったことも、又うれしい事であった。
よく遊び、よく学ぼう。
今度は、皆さんが自ら考え、勉強した研究の成果が、学内に、又全国のゼミナ−ルに、十数題発表されることになった。これまた皆さんの努力の結晶といえよう。
サマ−キャンプの時もそうであったように、今度のゼミナ−ルの時もそうであるように、全国にひろがっている医学関係の学生諸君が、共に語りあう機会のあることは、何としても貴重なことだ。
かって、私の学生時代に、自ら研究した仕事を、ある大先生が、”学生の研究なんて・・”と批評されたことがあった。その時、”何くそ・・”と思ったことも今は忘れはしない。
研究に苦労を重ねられた先生にとってみれば、安易な研究とそれによる結論は、とるにたらないものであるのであろう。実際に研究とはなまやさしいものでないことは今になって分かることである。
しかし、それを推進してゆく力は、自らの中につくられ、又何ものにもとらわれない若い心に生まれるはずである。
皆さんの研究は、世の識者からみれば、とるにたらないものといわれるかもしれない。あるいは貴重なものが、かくされているかもしれない。
しかし、その研究の過程の中でとらえられ、自らの頭の中で努力された成果は、いつまでも、将来の皆さんの頭の中に残ってゆくことであろう。
又それを期待したいのである。