先日厚生省から50-60歳代にかけての中高年齢層を表現するのにふさわしい新名称は「実年(じつねん)」と決定したと報道された。
何もこんな名前をつけなくても、という声がないことはないが、この名前をつけた法律でもできれば、使わないわけにはいかないだろう。
「字の意味がふさわしく、読み書きが容易で、語感がよく、少、青、壮、老と並べて使うのに適当、といった選考基準を決めて検討」したそうだが、満場一致で「実年」が金賞、銀賞は「充年」、佳作は「栄年」「悠年」「泰年」が決まったとあった。
この「実年」を読んだ人の発音を聞いて、選考委員の中に東北の人はいないと思った。
”じ”も”つ”も東北の人にはむずかしい発音だからだ。
何んと30万通も集まったとか。賞金100万円より、ひまな人が多いのか。そのひまの人の一人、私の落選作は”活年”である。
”カツネン”と読む。解釈は自由である。(長い)人生経験を活(イカ)す年でもあり、自ら活(カツ)を入れる年でもある、と書いて出した。
前に「成人病」という言葉をつくり出した厚生省だが、英訳する時に困ったという。今度の「実年」は何と訳すのだろう。
中年期脳卒中死亡率をわれわれが考えたとき、中年とは30-59歳であった。若い働き盛りの中年に脳卒中が多かったからだ。その中年を”middle age”と訳したのだが、その時分欧米ではmiddle ageとは50-64歳位と考えられていた。
中年もすぎ、老年には一寸早い65歳の正月を迎え、3月が停年で一区切りだが、自らに活(カツ)を入れるために一筆書かせていただいた。