SALVEOとは去る十月神戸で開かれたWHOフォ−ラム'91で配られたWHO-CARDIAC STUDY(循環器疾患と栄養国際共同研究)のセンタ−から新しく発刊されることになった情報誌の題名である。
名付親のT・ストラッサ−(世界高血圧連合事務総長)は「SALVEOは、ラテン語で、私は”元気です”とか”気分が良い””健康です”といった意味です」「SALVEOの健康を祈る」とメッセ−ジをよこした。
「活力ある未来社会を求めて−からだと心の健康」とうたったフォ−ラムは実に四千名を集めて盛会であった。その動員力に皆一様に感心していた。
企画がよかったのであろう。
WHOの中嶋宏事務総長の「21世紀に於ける総合健康システム(新ヘルス・パラダイム)」の基調講演、一分間六百字以上に流れるような家森幸男教授の話、映画そして堀江良一作詞・作曲・指揮の音楽。
ブラジルからはわが同窓の森口幸男博士のあちへ移住した日本人が一番安い肉を一人一キロ食べて心筋梗塞になった話。日米比較をしたアメリカ国立衛生研究所のハイジェリ博士の話。スペインからきた日本語のうまい美人のゴンザレス博士の理想の地中海食の話。
「心」の話としては柳田邦男評論家、朝日新聞初の女性論説委員として紹介された大熊由紀子さん、日本語でユ−モアを振りまく上智大のデ−ケン教授の話、そして最後のまとめが日野原重明学長とあっては、「幸福の科学」ではないが「健康の科学」に皆満足して帰えっていったのではないだろうか。
そのあと伊豆下田で開かれたCARDIAC STUDYの会で久しぶりにストラッサ−にあったとき、「salveoの語源は”塩”ではないですか」と話かけたら一瞬驚いたようだったが「may be」と返事した。
私がそういったのは「りんごと健康」(第一出版)につづいて「食塩と健康」を出すために勉強したからなのだが、それにしても二十六年も前の一九六五年ミネソタ大学へ行ったとき最初にころげこんで泊まったのがユ−ゴからきていたトム(T.Strasser)の部屋だったとは人と人との結び付き、そして言葉のもつ意味、学問の展開も不思議なものだと思う。