健康句

 

 この度「解説・現代健康句」を津軽書房から刊行した。

 「健康句」というのは私の創作した言葉であるが、はしがきに次のように書いた。

 ”「句」とは文章の一区切りとある。川柳とか短歌などと云うとそれに命をかけている方々に申し訳ないから「句」とした。だがほんの短い言葉に凝縮された文章は人の心をうち、いつまでも心に残る。「腹八分目」などは小さい時から心にあって、それでいて「養生」になる言葉である。「腹八分 グルメは六分」と云えば現代養生訓になる。なぜ現代養生訓になるのか。そこで現代医学の研究業績に従ってその解説をしてみたいと思った。どうしてかと云うと私は保健衛生の専門家といってもよい者だからである。”

 川柳とか短歌と書いたのはいつも医師会報や新聞誌上で拝見している諸先生の作、とくに「北仙先生」や「木念先生」のことが頭にあったからである。

 

 「一日一個のリンゴは医者を遠ざける」

 前に出した「りんごと健康」(第一出版)のエッセンスを紹介する意味を含めてこの格言も入れて解説した。

 「医者を遠ざける」とはなにか医師を必要としないような言葉なので抵抗があるのだが、英語の原語を直訳すればそうなるので止むを得ない。「太陽の入る家には医者が入らない」と同じく、昔の医者の概念がそうさせたのであろう。現代の医学の展開、そして医師の使命、いずれも時代によって変わり、健康に関する考え方の変化を理解してもらわなくてはと思うのである。

 とくに「予防医学」をめざし、「疫学」をやってきた者にとってではある。

 「あなた確率を信じますか」

 「黙って座ればピタリと当たる疫学」

 「これからはRFよりBFの時代だ」

 いずれも「疫学」の理解を深めてもらおうと書いたものである。「RF」は「リスク・ファクタ−」、「BF」は私の創った言葉「ベネフィット・ファクタ−」の略語である。

 具体的の例を示せば「塩が悪い、たばこを止めろというより、リンゴを毎日食べ、ビタミンCとかAとかをよくとりなさい」といった考え方である。

 

 「塩少々より少塩」

 それでも食事のときに「塩少々加えまして」というより「少塩」を心がけたほうが健康に良い、循環器疾患についてまた胃癌の予防にまでも良いのではないかとの「少塩ノススメ」である。

 

 「佐々木教授のリンゴジュ−ス」

 ちょっと宣伝がきいて気がひけるフレ−ズではあるが、日本医事新報(3356,74,昭63.7.30)に「食塩0の朝食」を書き、その中でリンゴをベ−スにしたジュ−スを飲んで「ゴルフ・ワンハ−フ」はできると書いたのが好評だったので、そのことを紹介した。自ら毎日飲んでいることを書いたのだが、医師会のゴルフの名手S先生も隠れた信奉者ではないかと思っている。よく最近のジュ−スの「処方」を聞かれるから。

 

 「地震 かみなり 火事 エイズ」は「免疫」と「エイズ」の講義をしたときに云った言葉だが、女子大生に「現代風でよいですね」と云われた。

 「生き生き健康 あふれる未来」も書いた。昭和62年から始まった「青森県生き生き健康県民運動」の推進委員会の委員長でもあるからである。その他たばこ・癌など20項目について解説した。

      (弘前市医師会報,231, 77, 平成5.10.15.)(一部日本医事新報,3636,54,平成6.1.1)

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