記憶に残る雑誌(5)

記憶に残る雑誌として(1)から(4)までは、自分の書いたものが掲載されたものについて書いたが、その(5)には他人がわれわれの研究を取材した記事、また紹介した記事が掲載されたものを主にいくつか、それも昭和30,40,50,年代のものを。

「病気とたべもの」(監修佐々廉平編集稲垣長典・森健吉)(池田書店・昭34)には小林ノブ子さんが「献立指導にあたって」指導を受けたと謝辞が書かれていた。学会発表をみてのことと思われる。

「朝日ジャ−ナル」(3(31), 41, 昭36)に「リンゴで防ぐ脳卒中」という記事があった。われわれの研究を紹介した記事であったが「・・・・リンゴにカリ(K)成分が多くふくまれていることから、現在高血圧発生に重要な要因と考えられているナトリウム(Na)に対するカリの保護作用という推論ができる。ところがわが国の教科書には、ナトリウムとカリの関係については、ずいぶん古典的な考え方しか引用されていないので、この推論が実証されることになると、だいぶ書き直さなければならないことになる」と。

   

「週刊現代」(3(35), 32, 昭36.9.3)に「高血圧による死亡率は1,2を争うほど高いものだがリンゴをたべると高血圧になりにくいという説が発表された」と。

「週刊文春」(p38, 昭36.9.4)に「高血圧にはリンゴ」がいちばんいいという説・・・リンゴは何にも云わないから、原因はまだ不明」と。

「同盟経済」(368号, 54-56, 昭36)に「りんご王国青森を行く」の記事の中で「りんごは高血圧に効果的」と反響を呼んでいる」と紹介された。

「週刊時事」(p69, 昭36.8.19)の「高血圧とリンゴ酢」の記事の中で「リンゴを多く食べると高血圧が少ないという研究の結果を発表していることを申し添えておきます」と。(p63-65, 昭36.11.10)には」には「リンゴと高血圧」と弘前のわれわれの研究室へきての取材記事が掲載された。

 

「主婦の友」(46(12), 292-293, 昭37)のたべもの歳時記に「高血圧を追放する」と日本衛生学会でのシンポジウムの内容が紹介されていた。続いて「りんごを食べて美人になって長生きしませんか」と弘前大学医学部へきての取材記事が掲載(48(10), 395-399, 昭39)された。特集「あなたは塩分をとりすぎていないか?」「高血圧は減塩食でなおる」(北川四郎)の記事(61(2), 213-222, 昭52)にわれわれの論文が参考にされていた。

  

「文芸春秋」(40(1), 129, 昭37)の「春夏秋冬」に「弘前大学の佐々木教授の研究・・・・業者一同大喜び」と。

「随筆サンケイ」(9(10), 89, 昭37)の「放談千夜:随筆寄席」で林髞先生が「高血圧とリンゴ」で「わたしはこないだ弘前に行ったんですよ・・・・」と。

「同盟経済」(395号, 111, 昭39)に「りんごで人生をコントロ−ルする。 万病の特効薬青森リンゴ」の「・・・立証して各方面の話題を・・」と図など引用した記事が。

「家庭画報」(pp19-28, July '72)が「巻頭特集2つのS(砂糖と塩)物語」が掲載された。われわれの研究を資料にこの時期よく書いたものだと思う。

  

秋田県西目村(現西目町)には村の高血圧対策のお手伝いをした。村の広報誌にはそれぞれの時に記事が掲載された。秋田魁新聞社で「吹き飛ばせ県民病」のキャンペ−ンをやって記事を連載し、社会部から出版(昭44)した。その中で「成果あげる健康な村づくり」として西目村が紹介(pp39-44)された。

「人間医学」(No.638, 12-13, 昭49)に「高血圧にリンゴ」の記事に、「・・・新聞雑誌に(日に3つ以上とれ・・)と宣伝されたが、その後の疫学的調査でもリンゴは高血圧を防ぎ脳卒中の予防になることが認められた」と。

「別冊壮快7」「新選民間薬事典」(マイヘルス社編集講談社, 38-42, 昭51)に「成人病によく効く民間薬50」に「実験でわかったリンゴの血圧降下作用」と。 雑誌「壮快」にはりんごに関する記事は数多く掲載されていた。

「栄養と料理」(43(11), 218-221, 昭52)に吉川春寿先生(東大から女子栄養大へ)が「栄養トピックス」に「高血圧を防ぐカリウムに注目」とわれわれの研究を紹介、「栄養学の面からもカリウムに関する知識を深めておく必要があるでしょう」と。

  

朝日新聞社科学部・武部俊一さんから「脳卒中--どこまで防げるか」(朝日新聞社, 昭53)「・・・・先生恵存 武部」を受けた。 1976年9月から1年3カ月朝日新聞「くらしの科学」欄に「・・・神話はくずれつつある・・最新知識を・・」 紹介したものを再編成してまとめたものと「あとがき」にあった。「日循協のこと」「慢性食塩中毒」など。

「家の光」(54(1), 209-219, 昭53)に「生活センタ−」「塩減らし作戦」に「塩分と高血圧に取り組んできた・・・先生は長年”塩減らし”を提唱してきました」と。「取材とまとめ/本誌城田憲子」

櫛引博敬氏が「林檎の本・驚くべき美容・健康効果」(経済界、昭53)を出版した。「青森県には高血圧、脳卒中がなぜ少ないか」とわれわれの研究を紹介していた。

小町嘉男先生が主婦の友社から「脳卒中は予防できる」(昭54)刊行された。「・・・はコホ−トスタデイといって・・・戦時中脳卒中死亡率は低下した・・・」と。

河北新報は昭和54年2月から7月21日まで「脳卒中」シリ−ズを連載した。それをまとめて「脳卒中克服のために」(昭55)として刊行した。中に「塩害」など。

   

昭和55年1月から読売新聞は「新栄養学読本」を連載した。それをまとめて「みんなの栄養読本、昭56)として刊行した。執筆者は大阪本社科学部傍島茂雄さんであったが、取材にきたときお世話になったと本を戴いた。

第一出版から「食塩と栄養」(佐々木直亮・菊地亮也, 昭55)が出版されたとき、全国の栄養士さんへ向けて日本栄養士会主催の「夏季栄養大学講座」が企画された。会場は東京・京都・福岡であった。多くの先生方と一緒の私は「食塩と健康」を受け持った。

弘前大学の公開講座が始まって各地で講演が行われた。テキストが配布され、中に「成人病対策と健康管理」抄(pp16-17)が印刷された。図は昭和55年度久慈市へ行ったときのものである。

秋田市の菊地亮也さんが中心になって日本栄養士会主唱「北から低塩食生活改善運動」を始めた。顧問団の一人に名前をつらねた。「低塩」というのは私が言い出した言葉であるがそれを採用したと思われる。図は運動用テキストである。

   

Medical Tribune(1980.9.1)の特別企画に座談会「脳・心血管疾患の疫学とその最新成果--Dr.W.B.Kannelを囲んで」の記事が掲載された。籏野脩一・中村治雄先生が聞き手であった。その中で「東北地方を訪問して」の中で「食塩の大量摂取を実感」「私がとくに興味をひかれたのはリンゴです。Dr.Sasakiの研究で・・」と。

青森県地区衛生組織連合会で鈴木治子さんらがいろいろな活動を行ったが、「ながいきへの道--アタリ予防のために」(県衛連資料, 1980.5)もその一つである。「脳卒中・高血圧へのとりくみ」が記録(pp1-13)されている。

東奥女子高等学校へ呼ばれて講演をしたことがあった。あとで「昭和56年度”米への提言””歴史への招待”」と米の消費拡大推進運動のまとめの印刷物になっていた。この時「健康についての講演会開催」として「健康の女神ハイジェイア」の内容抄録が記録(p122)された。

昭和56年に秋山房雄先生らが有斐閣新書として「よりよく生きるための食事学」(老人の健康と食生活)を出された。中にわれわれの研究を紹介したと謹呈の本を戴いた。

昭和56年に女子栄養大学出版部から「食塩・減塩から適塩へ」(木村修一・足立己幸編)が出版された。小町嘉男先生らの分担執筆であった。中にいくつかわれわれの成績が引用紹介されていた。謹呈をうけた。

昭和58年読売新聞社青森支社長の成田久典氏が読売新聞連載の記事をまとめて「青森リンゴ・光と影」を出版された。取材記事として「わたしの提言・血圧にとって”善玉”」という記事が記載された。

昭和59年にライフ・サイエンスから「食塩と高血圧 Salt and Hypertension」(藤田敏郎著)が出版された。中に文献としてわれわれの論文があり、謹呈を受けた。藤田君が筑波大にいたときのものである。

 

「塩」と「りんご」が健康との関連で私のぶつかったテ−マだが、最近は多くの資料にわれわれの研究が引用されることが多い。上は「青森りんご」(昭56)「朝日家庭便利帳--塩の生理学」(昭58)である。

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