【あらすじ】
時と所:1457年・ヴェネツィア共和国
<第1幕>
第1場/ドゥカーレ宮殿の大広間
ヴェネツィア共和国最高裁判機関である十人委員会のメンバーと、評議会のメンバーが、ドゥカーレ宮殿の大広間に集まっている。裁かれるのはこの国の総督フランチェスコ・フォスカリの息子、ヤコポ・フォスカリである。ヤコポは冤罪でクレタ島に流刑中、敵国へ出国したことが分かりヴェネツィアに召喚された。ヤコポは久しぶりの故国を懐かしみ、自分を取り巻く理不尽な不幸を嘆き悲しんだ。しかしその場には、フォスカリ家を憎む政敵ロレダーノが同席し、ヤコポに更なる不幸の影を落としていた。
第2場/フォスカリ邸の広間
ヤコポの妻ルクレツィアは、夫の父であり総督のフランチェスコ・フォスカリに、公平な裁判を懇願しに行こうとする。しかし侍女のピザーナに「もう神に祈るよりほかありません」と止められる。ところがそんなルクレツィアの元へ、夫ヤコポが再び流刑になるとの知らせが入る。ルクレツィアは不条理な現実に、言いようのない怒りを覚える。
第3場/ドゥカーレ宮殿の大広間
裁判で有罪判決の出たヤコポは、必死に無罪を訴えた。しかし十人委員会のメンバー達は、ヤコポが敵国ミラノのスフォルツァ公宛てに書いた手紙を証拠として取りあげ、再流刑は免れないと、ヤコポに取り合うことはなかった。
第4場/総督の部屋
フランチェスコ・フォスカリ総督は、自室で独りになると、息子を裁かなければならない自分の立場に胸が苦しくなった。そこへ息子ヤコポの妻ルクレツィアがやってきて「夫が敵国宛てに手紙を書いたのは裏切り行為ではなく、強い帰郷の思いからです」と、無罪のヤコポを救うよう訴えた。しかしフランチェスコは、総督の立場上、ヴェネツィアの法を覆すことが難しいことを示すしかなかった。
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