時と所:50年頃・ローマ帝国
第1幕/皇帝の宮廷
ローマ皇帝クラウディオが遠征中に海で遭難したという知らせを受け、妻のアグリッピーナは密かに喜びを示した。これで前夫との間に儲けた息子ネローネが、皇帝の座に就けると目論んだからだ。アグリッピーナは早速忠実な侍従であるパッランテとナルチーゾを呼び付け、財力を駆使してネローネの支持者を確保するよう指示を出した。アグリッピーナに憧れを抱いている侍従の2人は、進んでこの計画に協力する。ところが夫のクラウディオは、ローマの将軍であるオットーネに助けられ無事帰還したと、皇帝の侍従レスボが告げるので、アグリッピーナの思惑はあっさりと消えてしまった。その上戻って来たクラウディオは、命の恩人であるオットーネを次期皇帝にすると言い出すので、アグリッピーナは「何とか別の画策を企てなければ..」と思案を巡らせた。そして夫クラウディオの愛する女性で、将軍オットーネの恋人であるポッペアという女性を利用することを思い付く。アグリッピーナはまずポッペアの元を訪れると「あなたの恋人オットーネは、次期皇帝の座と引き換えにあなたを皇帝に差し出すつもりです」と言い、言葉巧みにオットーネへの復讐を持ち掛けた。オットーネが自分を裏切ったとすっかり信じ込んでしまったポッペアは、アグリッピーナの策略通りにオットーネへの復讐を誓い、家を訪ねて来た皇帝クラウディオに「オットーネは裏切り者だ」と吹き込んでしまう。
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