【あらすじ】
時と所:中世・魔法の島 第1幕
第1場/魔法の島
 ブラダマンテは弟リッチャルドの姿に変装し、師のメリッソと共に、失踪した婚約者のルッジェーロを探す旅をしていたが、その途中で魔法の島に迷い込んだ。この島の女王アルチーナは、島に男たちを誘い込んでは誘惑し、飽きるとその姿を石や木や動物などに変えてしまう恐ろしい魔女だという。ブラダマンテとメリッソは、島の中でアルチーナの妹モルガーナと出会うが、モルガーナは男装したブラダマンテを見て一目で気に入り、2人をアルチーナの宮殿へと案内する。
第2場/アルチーナの宮殿
 宮殿に着いたブラダマンテは、そこに婚約者のルッジェーロがいるのを発見し驚くが、逸る気持ちを抑え男性の振りを守り通す。女王アルチーナがルッジェーロを指し「私の恋人に宮殿を案内させましょう」と言って退出すると、早速ブラダマンテは弟の振りをしたまま「姉ブラダマンテと婚約している貴方が何故こんな所にいるのですか?」とルッジェーロを問い詰めた。しかしアルチーナの魔法に掛かり、過去の記憶をすっかり無くしたルッジェーロは「何をバカなことを!」と笑いながら立ち去ってしまった。そこへオベルトという青年がやって来て「一緒にこの島に来ていた、父アストルフォの姿が見当たらないのです!貴方がたご存じないですか?」と尋ねてきた。「分からない」と答えたブラダマンテだったが「きっとアルチーナの魔法に掛かり、動物の姿にでも変えられてしまったのだろう…」と心の中で呟いた。オベルトが去ると、今度は怒りで血相を変えたオロンテという男が現れ、いきなりブラダマンテに斬りかかろうとする。オロンテはアルチーナの家臣で、軍の総司令官だ。驚くブラダマンテだったが、すぐ後から入って来たアルチーナの妹モルガーナの、オロンテを必死で止める姿を見て察しがついた。モルガーナが男装をしている自分を好きになってしまい、恋人のオロンテが嫉妬に狂い自分を殺そうとしているのだ。
第3場/宮殿の一室
 今やすっかり魔女アルチーナの虜になってしまっっているルッジェーロの元に、アルチーナの家臣オロンテがやって来た。オロンテは恋人のモルガーナがリッチャルドに夢中なのに腹を立て、ルッジェーロにも「アルチーナもきっとあのリッチャルドを好きになり、飽きられたお前は動物に変えられてしまう運命だぞ」と毒づいたが、ルッジェーロがまるで相手にしない様子なので、呆れながら出ていった。しかしルッジェーロの本心は、実はアルチーナの心変わりを恐れて不安でいっぱいだった。リッチャルドに対し敵意を剥き出しにするルッジェーロに、リッチャルドに扮したブラダマンテはショックを受け、つい「私が貴方の恋人のブラダマンテ本人なのよ!」と口走ってしまうので、駆け付けた彼女の師メリッソは「彼は興奮していて、訳の分からないことを言ってるだけだ!」と必死でその場を取成した。今正体がばれれば、どんなひどい目に遭うか分からないのだ。ルッジェーロは「アルチーナは絶対に渡さないぞ!」とブラダマンテを睨み付けると出ていった。
 そこへモルガーナがやってきて「ルッジェーロの貴方への嫉妬が酷いので、姉のアルチーナは貴方を動物に変えてしまうと言っているわ!早く逃げて!」と告げる。
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