第2幕
第1場/宮殿の一室
 魔女アルチーナを一途に想うルッジェーロの元に、彼の婚約者ブラダマンテの師であるメリッソがやって来た。メリッソはルッジェーロに怪しまれないように、かつて彼の教師をしていたアトランテに変装し、昔話をして彼の記憶を呼び覚まそうと試みる。そして魔法を解く力を持つという指輪をはめてやると、ルッジェーロは我に返り全てのことを思い出した。メリッソはルッジェーロに「すぐにでも武器を持ち、この島から抜け出すんだ!」と言い去っていった。正気に戻ったルッジェーロは、現れたブラダマンテを弟のリッチャルドと思い込み「魔法が解け全てを思い出した。今すぐにでも君のお姉さんに逢いたい!」と言った。ブラダマンテは大喜びで「実は私がそのブラダマンテなのです!」と告白したが、長い間アルチーナの魔法に掛かっていたルッジェーロは「これも全てアルチーナの魔法なのではないか…」とブラダマンテの言葉を疑い出し、彼女が信じてもらえぬショックで立ち去った後も、一人「私を誘惑する甘い愛よ Mi lusinga il dolce affetto」と歌い、何が真実なのかと思い悩んだ。
第2場/宮殿前の庭園
 アルチーナが愛するルッジェーロのために、リッチャルドを動物にしてしまう魔法を掛けようとしている所へ、妹のモルガーナがやって来た。モルガーナはもうリッチャルドに夢中である。何とか魔法を止めさせようと「リッチャルドは他の人を愛しているのだから心配ないわ」と言うと、その場にやって来たルッジェーロも「貴女の愛を信じるので、その気持ちだけで充分です」と言うので、アルチーナは魔法を掛けるのを中断する。その後ルッジェーロは「久しぶりに狩りへいって来ます」と告げると、沢山の武器を装備し出ていった。そこへ青年オベルトが現れ「父を探してください!」と訴えるので、アルチーナは「もうじき見つかるでしょう」と彼を宥めた。
 暫くすると家臣のオロンテが駆け込んで来て、ルッジェーロの逃亡を告げる。アルチーナはルッジェーロに裏切られた悲しみを「ああ、私の心 Ah! mio cor!」と歌い嘆き部屋を出ていった。一方のルッジェーロは、恋人のブラダマンテに疑っていたことを詫び2人で逃げ出そうとするが、途中でモルガーナに見つかってしまう。モルガーナは恋人だったオロンテに「リッチャルドは君を裏切るぞ」と言われていたのを全く信じていなかったが、好きになったリッチャルドが実は女で、その上ルッジェーロの恋人だと分かると怒りが込み上げ「アルチーナの復讐を覚悟せよ!」と言い残すと、急いでアルチーナの元へと走った。
第3場/地下の洞窟
 ルッジェーロに裏切られたアルチーナは「ああ!残酷なルッジェーロ! Ah! Ruggiero crudel!」と歌うと、何とかルッジェーロを逃がさないように、霊を呼び出し阻止しようとするが、人を愛する気持ちが強いせいなのか彼女の魔力は全く効かず、霊たちは現れてくれない。彼女が立ち去った後の洞窟では、青白い亡霊たちが踊っていた。
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