【あらすじ】
第1幕 青ひげの城
幕が上がると、そこは青ひげの城の大広間。窓からは、今日嫁いできた6番目の花嫁アリアーヌをめぐって、戸外で話す農民たちの声が聞こえてくる。農民たちはこの城の主「青ひげ」が、今までに迎えた5人の妻たちを殺したが、妻たちは生き返り、その歌声が聞こえてくると囁いている。興奮する農民達は「不吉な青ひげを死罪にしろ!」と叫び合う。窓が閉められ、広間は静けさを取り戻し、アリアーヌと乳母が現れる。青ひげの噂を聞いて怯える乳母を、アリアーヌは「青ひげは自分を愛しているから、危害を加えるつもりはないわ」と安心させる。そして青ひげから渡された六つの宝石の部屋の銀の鍵と、使用を禁じられた一つの金の鍵を取り出す。しかしアリアーヌは「大切なのは金の鍵だけ」と六つの銀の鍵を投げ捨ててしまう。乳母は「宝石を無駄にするのですか」と慌てて銀の鍵を拾い集め、六つの扉を開けて行く。一つ一つ開けられていく扉から、眩い宝石が輝きを放つ。アメジスト、サファイア、パール、エメラルドそして血を思わせる真っ赤なルビー。二人が不吉な恐怖を覚えながら最後の扉を開けると、そこは燦然と輝くダイヤモンドで埋め尽くされていた。美しさに目を奪われ、その輝きにしばらく身を沈めるアリアーヌは部屋の奥にある秘密の扉を見つける。乳母の制止を振り切り、アリアーヌが金の鍵で扉を開けると、深い闇が広がっていて、かすかな歌声が聞こえてくる。「オルラモンドの5人の娘、扉のありかを探してた」と暗闇の中で、扉を捜すようすが歌われる。はじめは消えそうなほど小さかった歌声は次第にはっきりと聞こえるようになる。歌声を恐れる乳母は扉を閉めようとするが、アリアーヌは5人の妻達を探しに行くのだと暗闇の中の階段を降りて行く。するとそこには青ひげが待ち構えていた。青ひげは言いつけに背いて金の鍵を使ったアリアーヌの弱さを嘆き、幸福を捨てようとしていると責める。しかしアリアーヌは秘密を抱えた青ひげの影の中に、幸福などあり得ないと答える。怒った青ひげがアリアーヌを力ずくで連れ出そうとしてもみ合いになる。アリアーヌと乳母の悲鳴を聞きつけ、城の周りを囲んでいた農民達が窓を割って押し入ってくる。青ひげは一戦を交えようと剣を抜く。すると意外なことにアリアーヌは進み出て、「何事もないのでお帰り下さい」と農民たちを引き取らせてしまうのである。青ひげは抜いた剣を見つめ佇んでいる。
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