第2幕 シーン1 主甲板と後甲板
後方甲板から霧が立ち込め、ヴィアと士官達が甲板に集まっている。クラッガートがヴィアに「水夫達が暴動を起こそうとしている」と警告すると、その時「フランス軍艦接近!」という報告が入る。にわかに霧が晴れ、インドミタブル号のフランス軍艦追撃が始まる。船員達は長い間待ちわびていた戦に興奮し、高らかに戦意を歌う。砲台が火を噴き攻撃が開始されるが、フランス軍艦はすでに射程距離を離れ砲丸は届かない。運悪く風も止み再び霧が立ち込め、追撃は不可能となる。水夫達は甲板で不平をこぼし、船内はかつてないほどの険悪な空気に包まれる。再びクラッガートがヴィアに近づき「ビリーが暴動を扇動している」と報告する。ヴィアはクラッガートの報告が嘘であると断言するが、ビリーを取り調べるため、艦長室に呼ぶ。
シーン2 艦長室
そんな事とは知らないビリーは昇進の話だと思い込み嬉しそうに船長室に現れ「ヴィア付きの下士官になりたい」と歌う。しかし待っていたのは、暴動の首謀者としての嫌疑であった。ヴィアはビリーに釈明を求めるが、興奮したビリーは吃音で話が出来ない。卑劣な讒言に激怒したビリーは、堪え切れずクラッガートを殴り殺してしまう。ヴィアは、艦長としての采配不足を悔みながらも、三人の士官達を召集し軍法会議が始まる。興奮するビリーは上手く説明が出来ず「暴力に訴える事しかできなかった」と答え、ヴィアに助けを求める。士官達も艦長であるヴィアの意見を求めるがヴィアは弁明を避ける。審議は終わりビリーが退席する。曹長を殺害した水夫に恩赦は難しく、ビリーは死刑判決となる。ヴィアはビリーの潔白を知りながらも、死刑判決を覆す事は出来なかった。

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