【あらすじ】
第1幕
第1場 聖金曜日、ニューヨーク、リトルイタリアのアパート
アニーナの住むうらぶれたアパートに、近所の人々が集まっている。聖金曜日の今日、アニーナを通じて降りてきた神の力が、新聞売りマリア・コロナの口のきけない息子の病を治すというのだ。神父のドン・マルコが病気で弱ったアニーナを椅子に座らせると、彼女は錯乱状態になり意識を失ってしまう。まるで十字架にかけられたようなアニーナの様子に、人々はキリストの聖痕を認めた。そこに現れたアニーナの兄ミケーレは、嫌悪感をあらわにして隣人達を追い払う。懐疑的なミケーレはドン・マルコに「妹は心の病から来る幻覚症状に惑わされているだけだ」と吐き捨て、「貧困と餓えと病気に喘ぐ俺達に、神など存在するものか?」と嘲笑する。それに対しドン・マルコはキリストの愛を説きアリア「あわれなミケーレよ」を歌う。
第2場  9月、アパートの空き地
アニーナと親友のカルメラはサンジェロナ祭の準備をしている。かねてから二人は一緒に修道女になろうと約束していたが、カルメラはサルバトーレと恋に落ち婚約したことをアニーナに告白する。謝るカルメラをアニーナは心から祝福する。その頃町では、アニーナの神通力でマリア・コロナの息子が話し始めたと評判になる。そして乱暴な男達は、もしミケーレが聖者アニーナを祭りに参加させないのなら、力ずくでもアニーナを奪いとろうと企てる。それを聞いたマリア・コロナは慌ててアニーナに知らせるが、アニーナは兄の身を案ずるばかりで逃げようとしない。案の定、やって来たミケーレは「アニーナをどこにもやらない!」と、挑戦的なアリアを歌う。やがて祝祭のパレードが近づき、現れた男達はミケーレを殴り倒しフェンスに縛りつけ、恐怖に震えるアニーナを肩に担いで連れ去ってしまう。ミケーレの叫びは、通り過ぎるパレードの荘厳な聖歌に打ち消される。人々が去るのを待って、ミケーレの恋人デシテリアが助けに来る。フェンスの縄をほどき、熱いキスでミケーレを慰める。
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