場所:スパルタ
序曲。スパルタ王家の王子であり、神ユピテル(ジュピター)の血をひくポリュックスと太陽の娘テライールが冠を交換しあい、結婚の誓いが交わされる。その様子をポリュックスの異父兄弟で、テライールの恋人であったカストールと、カストールを秘かに愛するスパルタ王女フェーベが悲しげに見守っている。
第1幕 スパルタの国
スパルタの王女フェーベは、美しい太陽の娘テライールがカストールの恋人でありながら、弟ポリュックスからも愛され結婚することを嫉妬し、誘拐を企てる。一方テライールは、愛するカストールと別れ、望まぬ結婚をしなければならないと嘆いている。そこにカストールが現れ、辛い別れを嘆き二人は抱き合う。それを陰から見ていたポリュックスは、二人が愛し合っていたこと知り「自分にとって最も大切な二人の愛が成就することこそ、喜びです。」と身をひくのである。カストールとテライールは思いもよらぬ言葉に喜び合い、弟ポリュックスの情愛に感謝する。スパルタの民衆はカストールとテライールの結婚を讃歌し、カストールは「愛する幸せよ、永遠に!」と愛が成就した喜びを歌う。しかし喜びの時は突然終わりを告げる。フェーベにけしかけられた敵国のランセーが兵をあげ、テライールを誘拐するためにスパルタ王国に攻め込んで来たのだ。ポリュックスとカストールは、ともに戦地に赴いて行く。スパルタの町には砲撃の音が鳴り響き、残されたテライールは不安と恐怖におののきながら、愛するカストールの生還を必死に祈る。だが無情にもスパルタ兵士によってカストールの戦死が伝えられる。
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