シーン1
マラテスタの宮殿
ランチェオット・マラテスタはローマ法王の敵を打ち破り、その功績を高く評価されていた。そこで枢機卿は勇猛果敢なランチェオットに、キリストの教皇代理のために再び戦いに向かうようにと命じた。ランチェオットは命令に従い、その夜彼の軍勢を召集した。しかし戦いに向かうトランペットの勇ましい響きも、かつてのようにランチェオットの心を沸き立たせはしない。なぜなら、彼の心は、妻フランチェスカへの激しい嫉妬に苛まれていたのだ。事の発端はフランチェスカの父親グイドにあった。長年、不和関係にあったグイド家とマラテスタ家の戦いを終結させるために、グイドは娘フランチェスカとランチェオットの婚姻を提案した。しかしランチェオットは足が不自由な上に堅物であったので、彼の美しい弟パオロを、代理という事を伏せてフランチェスカにプロポーズさせたのである。真相を知る由もないフランチェスカは、美しいパオロを本当に愛し、結婚の誓いを交わす。筋書き通りに事は運び、結婚式がおこなわれた。翌朝、無慈悲にもフランチェスカは、本当の夫がパオロの兄のランチェオットである事を知らされる。一方ランチェオットは、妻となったフランチェスカが、醜い自分より、美しい弟のパオロを愛しているのではないかという嫉妬に苛まれる。苦悩のランチェオットは枢機卿の命により遠征するこの機会を利用して、二人に罠をかけ、フランチェスカの愛を確かめようとする。そこでランチェオットは妻に「自分が戦いに出ている間、パオロに面倒を見てもらうように」と命じる。フランチェスカは従順な妻として、夫の命令に従う神聖な義務として、内心の喜びを隠し、言いつけに従った。
シーン2へ
RETURN
オペラ名曲辞典TOP