時と場所:1930年地中海沿岸の港町、北アフリカ
あらすじ
第1幕 スペインの港町
活気に溢れるスペインの市場で、ピエリーノという若者が果物を売っている。今日は店仕舞いなのでロバと荷車まで売ってしまうと、恋人のアニータに、二人で北アフリカへ行こうとプロポーズする。二人は新生活を夢見て「南国育ちの二人にはお金はないが愛がある」と陽気に二重唱を歌う。一方町の宿屋のカフェテラスでは、籠作りの職人マヌエレが店主を相手に、若く美貌の妻ジュディッタの自慢をし、妻のためにスカーフを買いに行くと話す。そこへ数人の士官達がやって来て、酒盛りを始める。若き将校オクターヴィオは、アリア「友よ、生き甲斐ある人生よ!」で、人生は恋と冒険であると、人生讃歌を歌い上げる。士官達が軍務のために先に船に戻り、オクターヴィオは一人ワインを楽しんでいる。すると向かいの窓から、若き美貌のジュディッタが「私の運命はどこにいくの?」と物憂げに歌う声が聞こえてくる。その美しさに、オクターヴィオは一目で魅了されてしまい、部屋を訪ねて行く。ジュディッタはマヌエレの妻でありながら、身をもてあまし「恋の海に身を沈めたい」と歌う。オクターヴィオも熱い想いを打ち明け二人はたちまち恋に落ちる。一時間後に出航が迫るオクターヴィオは、夫を捨てて一緒に北アフリカに行こうとジュディッタを誘う。カフェに戻ったオクターヴィオは、そこに夫のマヌエレが居るとも知らず「今、人生最高の女性に出会った」と恋の情熱を歌う。マヌエレは買ったスカーフを持って帰るなり、妻ジュディッタに将校と浮気をしたのかと詰め寄る。怒ったジュディッタはマヌエレを追い出すと、飼っていた鳥を逃がし、港へと走りだす。一方マヌエレは怒り過ぎた自分を責め、今度はネックレスを買って戻るが、ジュディッタの姿はない。港から聞こえる汽笛と、空になった鳥籠。マヌエレはジュディッタが去ってしまったことを悟り港に急ぐ。すでに港を離れた船を見送り茫然と立ち尽くすマヌエレの手から、渡せなかったネックレスがこぼれ落ちる。
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